レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「1950 鋼の第七中隊」長津湖の戦いを描いたプロパガンダ戦争映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「1950 鋼の第七中隊」(2021)です。これは中国共産党建国100周年三部作の第二作目です。第一作「中国医師」第三作「無名」は日本で公開されるかどうか分かりません。

映画は、1950年9月クロマイト作戦(仁川上陸)から始まり、国連軍が38度線を越え、鴨緑江付近の中国人民解放軍を攻撃し始めると、流石に中国側も黙っていられなくなり、国連軍へ反撃することになる。そこは長津湖と呼ばれる場所で人海戦術にする夜襲突撃を敢行だった。11月末だと言うのに夜は零下40度という寒冷の地、兵力約15万が国連軍に突撃を敢行、その勇猛果敢な第七中隊の活躍を描いています。この時中国軍は流石に正規軍として攻撃することは出来なく義勇軍として参戦することになり…

戦争映画、朝鮮戦争を描いた映画です。現在公開中の作品で、日本では殆ど話題になっていませんが中国では大ヒット、韓国では公開中止と言うことで、私は期待の大作として首を長くして待っていました。映画は上映時間約三時間という長尺です。

さて、作品の出来はと言うと悪くはありませんが、やはり勇ましくて、プロパガンダ臭さが拭い切れなくて…、面白いことにこの映画、監督が三人いるのです。あの「さらば、わが愛 覇王別姫」のチェン・カイコー、香港映画アクション派ツイ・ハーク、ダンテ・ラムとね。

冒頭、第七中隊中隊長伍千里が帰郷して、両親に会うや否や土下座して頭を床に擦り付け、両親に兄が戦死したのは俺の力不足だと詫びるシーンがあります。このあたりなんかとても演出がしっかりしていて、おっとこの映画は良いかもと思いましたが、映画が進むにつれて、特に軍用列車に乗り込み、中朝国境付近で米軍空爆を受ける辺りから段々と普通の映画になっていき、終盤人海戦術で夜間突撃をするシーンで少し盛り上がる感じかな。

特に、中盤米軍通信基地を攻撃するシーンがあり、このシーンが冗長過ぎる様に感じます。まるで香港アクションの様で、この辺りツイ・ハーク、ダンテ・ラム監督が仕切ったようで。あくまでも私の印象ですが、最初にカイコー監督が映画を撮り上げたが、試写会で評判が良くなく、ツイ・ハーク、ダンテ・ラム監督を起用してアクションシーンを追加したような印象で。だからその辺り安っぽく見えて。

個人的には、例えば「史上最大の作戦」「遠すぎた橋」「パリは燃えているか」のような戦場、戦闘を上手く俯瞰するような朝鮮戦争映画を見てみたいと思います。

最後に、私は知りませんでしたが毛沢東の息子がチラリと出てきます。この戦いで米軍の空爆を受けて戦死するシーンがあって、これは初めて知りました。

 

追記 私の読んだ歴史書には、スターリンの恫喝に近い依頼があり、中国は朝鮮戦争に参戦します。もともと朝鮮戦争は、米国務長官アチソンが言ったアチソンラインの説明がとても悪く、誤解した金日成とスターリンの火遊び的な戦争でした。

もし、スターリンが金日成を後押ししなければ生起しない戦争でした。いずれにせよ、20世紀は、極東南進による日露戦争、ロシア革命に始まり、第二次大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争そしてソ連崩壊とすべてがロシア、ソ連がらみで21世紀もその余波が…

この民族、この国、もう勘弁して欲しいと思います。

 

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