「遥かなる勝利へ」今度はジャン=ピェール・ジュネスタイルで東部戦線をですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「遥かなる勝利へ」(2011)です。

 

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この作品では、ミハルコフ監督はもう余裕で遊んでいます。冒頭、ワーグナーのニュールンベルグのマイスタージンガーをバックにやぶ蚊が誕生し、その蚊がドイツ軍が構築した丘の上の大要塞に対峙するソ連軍の塹壕に居る兵士達に絡み回るシーンで、ジュネスタイルをまねて余裕を感じさせます。

 

コトフは懲罰部隊の一兵卒となり、幹部たちはスターリンに尻を叩かれ、攻撃を決定し、お馴染み督戦隊(逃げる兵士を監視、射殺する部隊)も用意され、攻撃は開始される。デミートリ大佐は、偶然コトフを発見して、攻撃に参加するが、攻撃は失敗する。

生還したコトフとデミートリ、デミートリからコトフの名誉は回復されたこと、妻のこと色々と聞く。

ナージャ中尉は、この地で看護士として活躍していた。車で負傷兵を運んでいたナージャも、執拗なシュツゥーカの攻撃をかわして生還した。

コトフは、デミートリともにスターリンに会い、そして妻マルーシャと会う。あの1936年に戻ることはもう出来ない。そして、デミートリは政治犯として裁かれることに。

 翌日彼女達は、別の場所へ向かうべくダーチャを後にした。

 

コトフは、約一万五千人の政治犯達を集めて、再びあの大要塞攻撃を指揮するのだが…

 

映画ではコトフとスターリンの会談シーンが素晴らしい。スターリンは、コトフが革命時、多くの虐殺を行ったことを淡々と話す。革命の英雄すなわち、反革命分子をとことん処刑して来た。宗教指導者、農業指導者を容赦なく処刑して来た。

そして、スターリンは言う。革命に対して日和見的なグループがいる。こういう人達が問題なのだ。立場を明確にしてくれないと。彼らを使ってあの大要塞を攻撃して欲しいと。世界中が我々に注目している。やり遂げないと、我々の決意を世界中に披露しないと。

 

これですよね、これを待っていました。こういうロジックで世界は動いていると考えると、例えば、あのジェンダーギャップ指数なんて鼻くそみたいなもので、そんなもので国の方向を考えることの滑稽さを通り越して悲しさ、無意味さ、馬鹿らしさ。国家運営は非情なものだと言う事。そして、こういう映画に出会えたことの幸福感。

ミハルコフ監督は、プーチン大統領ととても懇意と聞いています。多分、彼の周りに本当のスターリンの実像を知っている方がいるのでしょう。こういう追体験が出来る映画って、本当に素晴らしいと思います。

 

私もこの作品、日本で公開された時ノーマークの映画でしたが、今回鑑賞して映画の裏に隠れている思想性に驚愕しました。うっかりしていると、数年後、我々もコトフ達の様に奈落の底に落ちることになるでしょう。出来れば、このシリーズ多くの人に見てもらいたいと。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。       八点鍾

 

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