レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

料理と食を楽しむユニークな関係の映画「ポトフ 美食家と料理人」

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ポトフ 美食家と料理人」(2022)です。

美食家ドダン(ブノワ・マジメル)と料理人ウージェニー(ジュリエット・ビノッシュ)の関係はユニークだ。ウージェニーだけが料理する訳でもなく、互いに料理して、食を楽しんでいる。更に結婚することなく同じ家に住んでいる。ウージェニーを助ける為に若い助手ヴィオレットを加えて新しいメニューを作り上げる。名声が上がり、ユーラシア皇太子の晩餐会にも招待される。それは仰々しいだけで面白みがなかった。

ドダンは皇太子を迎えるのならシンプルなメニューで迎えるのがいいとポトフを提案するが、そんな中ウージェニーは倒れてしまう。すぐに回復するウージェニーだが、ドダンの心中は何やら複雑な思いで…

監督はあの「夏至」「ノルウェイの森」のトラン・アン・ユン、いやはや頼もしい監督に成長しました。

私この映画、あの「バベットの晩餐会」の様な作品かなと思っていたらそうではなく、冒頭から淡々と玉葱を刻んだり、湯を沸かしたり、肉片を炒めたり焼くシーンの連続で、それもロングテイク、自然光だけで撮影して、音楽は鳥の囀り、調理場での木片がはぜる音、包丁で叩く音等の自然音だけで驚きました。それがうまく調和して、何とも言えないムードを形成しているのです。"美しいです"を通り越してお見事の一語です。

こんなリズムで映画が進みラストまで統一されており、このような作品は見たことがありません。だから、マニアックな映画好きな方はご覧になると嬉しくなるのではと思います。そうでない方は、まあ、普通の映画かなで終わると思いますが…

ノワールスリラーによく出てくるブノワ・マジメルも良いですが、お久しぶりのジュリエット・ビノシュが年に違わず美しくて、素晴らしいです。

好い映画です。興味を持たれた方はぜひ鑑賞して下さい。ヴァル・オ・ヴァン(トサカとザリガニとクリネのクリーム煮パイ詰め)等登場しますが、やはり料理はシンプルなポトフが一番なのでしょうネ。                  八点鐘

 

追記 この作品、第76回カンヌ国際映画祭最優秀監督賞を得ています。又、今回AIにてタイトルを始めて作成してみました。

 

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