レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「冒険者たち」(1967)です。
この作品、昨日ご紹介した「ラムの大通り」のロベール・アンリコ監督作品です。思うに、日本の観客が一番好きなフランス映画ではないでしょうか?
映画は、簡単に言えば人生に挫折した男女3人が明るく宝探しに出掛け、大金を手に入れるのですが、やはり人生上手くいかなくて・・・
特に前半、騙されてパイロット免許を剝奪されたマヌ(アラン・ドロン)、高性能エンジン開発を生きがいにしているエンジニア、ロラン(リノ・ヴァンチュラ)、前衛彫刻家レティシア(ジョアンナ・シムカス)達が挫折し、人生再チャレンジの資金を得るために、コンゴ動乱(知らない人は「戦争プロフェショナル」見てね!)で、消息を絶ったレシプロ機(一財産を持った宝石商が搭乗していた)を発見し、一人一億フラン手に入れるのだが、それがもとで悲劇が彼らに・・・
映画は大変良く出来ています。多分、この映画が最初だと思いますが、男二人と女一人の組み合わせがとても上手い。ジョアンナ・シムカスの自然体の演技が素晴らしいと思います。彼女に曳かれて、ドロンもヴァンチェラも別の演技を披露されたように思います。ジョージ・ロイ・ヒル監督「明日に向かって撃て」はこのスタイルを模倣したものと思います。
本当に屈託なく宝探しに行き、苦労なんかまったく描くことなく、まるで遊びの延長の様に上手く描いています。ちょっと見ていて恥ずかしくなるぐらいですが。
例えばジョン・ヒューストン監督「黄金」では、互いが疑心暗鬼になって破滅するのだが・・・
悲劇が襲い仲間が亡くなり、分け前を持って親族を訪ねる辺りから、俄然ノワール色が濃厚になって、私の目が刮目してきます。やはり、フランス映画はこう来なくては。
この辺り、とてもいい雰囲気です。メルセデス300Eカブリオレに乗ってフランスの片田舎タンプル村を訪ねます。そして、ㇾティシアの故郷、イクス島の商店で甥を見つけ、カバンから現金(ラルジャン)を渡す。涙物の良いシーンです。
対岸遥か彼方に要塞島を見ることが出来る。が、生き残った者に再び悲劇が襲うのだった・・・
この映画の原作「生き残った者の掟」原作者ジョゼ・ジョバンニは、この映画のソフトさを嫌い、もう一度ジョバンニ自身で映画化しています。ビデオで鑑賞しましたが、重く観念的で面白くありませんでした。私としては「ベラクルスの男」の様な映画を期待していましたが。
私は、今回この作品をBDで鑑賞しました。それには、特典映像として2006年、カンヌ映画祭を訪れたジョアンナ・シムカスのインタヴューが付いており、この作品の想い出を語ってくれました。
要約すると、
ゴダール映画の脇役数本出ただけで、この作品に主演したので大変でしたが、共演のドロン、ヴァンチェラが優しく対応してくれたので大変楽しく思い出です。
その時、演技が未熟だったので同じ演技が出来なくて苦労しましたとか。ハリウッド映画「失われた男」に主演して、共演者シドニー・ポアチエが誠実だったので結婚し、ショービジネスから引退しました。その時26歳でした。 八点鍾
追記
このブログでのフランスの地名は、"居ながらシネマ"のサイトを参考にしました。