レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「現金に手を出すな」(1954)です。
フィルムノワールの古典です。この手の映画が好きな方は、このさくひんはどうしても外せない作品だと思います。グリスビーのテーマといい、ギャバンのドスの効いた演技、プロット、ミリュー(暗黒街)に生きる男達の描き方、その世界に生きる者達のその習わしと言うか仁義、全てが上手く噛み合った作品になっています。少し前に紹介した「死刑台のエレベーター」は、音楽、撮影の先進性が飛び抜けた作品ですが、全体のバランスよくとれたこの映画と比較すると、こちらの方が良く出来ていると思います。「穴」「肉体の冠」の監督はジャック・ベッケル。
映画は、ブーシェの店でたむろするマックス(ジャン・ギャバン)とリトン、女達とピエロのキャバレーへ向かう。女の一人ジョジィ(ジャンヌ・モロー)が手の甲にヘロインをのせて吸引しようとすると怒り出すリトン。
キャバレーでアンジェロ(リノ・ヴァンチェラ)に会い、彼とジョジィの怪しい関係に気付くマックス。キャバレーで楽しんでアパートに戻ろうとすると救急車が着けてくる。部屋に戻り、MBA拳銃で男達を威嚇するマックス、リトンに連絡してアンジェロの罠から救い出すマックス。マックスのセイフティハウスで、ワインとラスクにパテを付けたつまみで夜食を取る二人。うーん、美しいです。
リトンがジョジィにオルリー空港での金塊強奪の話を匂わせたので、アンジェロ達がリトンを襲い、金塊を奪い去ろうとしたのだった。危ないと感じたマックスは金塊を乗せてフォード・ヴェデッドを運転し、伯父の古物商に換金を頼むのだが、ジョジィに会いに行ったリトンは再び拘束され、アンジェロから連絡が入る「金塊と交換だ」と。
マックスとピエロは、ステンマークⅡ機関銃、トンプソン機関銃で武装してアンジェロ達と対決するのだが…
前述したようにフィルムノワールの古典です。冒頭のキャバレーのシーン等、メルヴィルが何度も同じようなシーンを「ギャング」「サムライ」「仁義」「リスボン特急」で撮り続けています。だから、あのノワールフイルム独特の雰囲気が漂っている映画と言っていいでしょう。
本当にジャン・ギャバンは素晴らしいと思います。特に行きつけのブーシェの店で、ブーシェに10万フラン渡して、
「これを預かってくれ。帰ってこなかったらこれで弁護士を雇って面会に来てくれ」と言うシーンなんかとてもいい味が出て…
このブログ作成にBD版を鑑賞しています。 八点鍾