レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「おとなのけんか」人生最悪の日を迎えた二組の夫婦の映画ですが・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「おとなのけんか」(2011)です。

 

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映画は、子供の喧嘩で怪我をした相手の家庭を訪問したカウワン夫妻(クリストフ・ヴァルツ、ケイト・ウイスレット)は、ロングストリート夫妻(ジョン・C・ライリー、ジョディ・フォスター)と共に被害レポートを作成するが、些細なことからその虚飾にまみれた互いの人間性を焙り出し、カタストロフィーに向かってしまうのだが・・・

 

色々な意味でグロさを持ち合わせた巨匠ロマン・ポランスキー監督作品です。上映時間も80分程なので軽い映画かなと思って鑑賞しましたが、ちょっとしたことで人間の本性をさらけ出してしまう、怖い程良く出来た高級な作品でした。

ポランスキー監督、かなりのお齢ですがなかなかやってくれます。こういう作品だと水を得た魚の様に面白く、とても演出が冴えていると思います。笑えます、ですがこのブログでも紹介した「死と乙女」と同じようにドロドロとした感情がスクリーンの裏に隠れている様に思います。

人の悪い監督だよ、ポランスキーは。おまけに出演者は皆芸達者な人ばかりなので、本当に面白い作品になっています。

 

この作品が公開された時は、ケイト・ウィスレットがゲロ吐きまくることばかり宣伝されたようですが、本質をついていないように思います。こういう作品ですと宣伝しにくいことは分かりますがね。

 

この作品は、ヤスミナ・レザの戯曲「大人は、かく戦えり」を基にしています。この映画を見ながら、私は、双葉十三郎先生「ぼくの採点表」を思い出しました。それはスタンリー・キューブリック「突撃」の批評です。小説家小林信彦氏も言っているように双葉氏の批評は鋭いと。

 

この「突撃」の批評はキューブリックの限界を指摘していると。それは、映画後半の軍事法廷のシーンで、描写の厚みがない、おざなりだと言っており、舞台演出を経験すれば、彼はもっと伸びるとか。

そうだよな、言われる通りだ。キューブリックはそういう映画無いよな、だから、F0.7のレンズを使用して撮影に凝ったり、SFXに凝ったり、ドルビーシステムを使用したり、ステデイカムを利用して物凄い効果をあげたりするんた。

 

ポランスキーは戯曲の映画化なんか時々やるから人物描写に厚みがあります。サム・メンデス監督も舞台を経験しているし、ケネス・プラナーもそうだ。

 私はキューブリックという天才を揶揄している訳ではありません。彼の業績は素晴らしいものですが、もし彼が舞台を経験していたらもっと凄い傑作を残していただろうと思いながらこの映画を鑑賞していました。

 

このブログ作成にBD版を鑑賞しました。          八点鍾

 

wedplain15.hatenablog.com

 

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