レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「グロリア」(1980)です。
フィルムノワールですが、少し味わいが違います。監督がジョン・カサヴェテス、そう俳優のカサヴェテス、「特攻大作戦」「殺人者たち」「ローズマリーの赤ちゃん」「明日よさらば」「フューリー(デ・パルマ作品)」のカサヴェテスです。彼の本業は監督かもしれません。映画製作の為、俳優でお金を稼いでいる様な感じもします。才能もあるので、この作品ではヴェネチィア国際映画祭では金獅子賞を受賞しています。
主演はジーナ・ローランズ、彼の妻でありセンスの良い女優です。この作品も彼女の一番良い所を引き出している感じがします。可愛いけど太々しくてタフで押しが強い、加えてハードボイルド味を持った頼りになる女を演じています。うーん、美しいです。
グロリア(ジーナ・ローランズ)は、サウス・ブロンクスのアパートに住んでた。友達の部屋にコーヒーを借りに行ったところ、その夫が組織の会計係をしており、金をピンハネし、又FBIに情報を漏らしたことから、逃走しようとしていたが、逃げることが出来なく、フィルという男の子だけでも助けてくれと懇願され、仕方なく預かることになった。
組織は見せしめのために一家を皆殺しにした。グロリアは、反目するフィルを連れて、ニューヨークを出て、ピッツバーグを目指すのだった・・・
カサヴェテスの映画は、インデェペンデント映画のはしりで、どちらかと言うと重いプライベート映画タッチが多く、この作品は、彼のキャリアの中でも一番商業映画の要素が強く、私はこの作品しか彼の映画は見ていません。
ほぼ全編オールロケ、ローバジェットで、殆ど華やかさはありませんが、それがこの作品に良いムードを与えていることは間違いありません。ローランズの面構えがとても良く、煙草のくわえ方もどうに入った感じで、おまけにエマニュエル・ウンガロを身に付けての逃亡劇、本当に良い映画になっています。
特に、追跡してきた組織の男達が乗った車に対して、腰を少しかがめて問答無用とばかりにS&Wモデル60を乱射するシーン、ラストのボスとの話し合いシーンの緊張感と共に素晴らしいシーンだと思います。
このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。 八点鍾