レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「リトル・ドラマー・ガール」あのル・カレ原作のエスピオナージスリラーをパク・チャヌク監督が映像化したミニシリーズですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「リトル・ドラマーガール」(2018)です。

 

1979年、西ドイツ。イスラエル政府経済アタッシェがパレスチナのテログループに狙われて子供が犠牲になった。西ドイツ警察は爆破現場を調査して、ある特徴のある結び目のコードを発見する。イスラエル情報機関「モサド」はその結び目を見てテログループは「カリル」というグループと断定する。対テロ部隊のチーフ、カーツ(マイケル・シャノン)はプロの部員を敵のテログループに潜り込ませるのではなく、素人の女性チャーリー(フローレンス・ピュー)をリクルートする計画を立てるのだが…

世界情勢が米ソデタント時代に入り、ジョン・ル・カレの新作がパレスチナ問題を描いた作品を上梓したので、読者が驚きました。そして作品がすこぶる良く出来ていたのでハリウッドで映画化されました。

が、1984年のジョージ・ロイ・ヒル監督作品は、ダイアン・キートンが主人公チャーリーを演じますが、どう見てもミスキャストで映画の出来は今3歩と言った感じで、劇場で見てがっかりして帰った記憶があります。あの「明日に向かって撃て」「スティング」のヒル監督がこれかよと言うより、スタジオ側と揉めたようですね。

対して、この作品はとても良く出来ています。キャストが良いですね、主人公チャーリーをフローレンス・ピュー、モサドのリーダー、カーツをマイケル・シャノン、諜報員ジョセフをアレキサンダー・スカルスガルドと渋めのキャスティングでこれが良いですね。特にマイケル・シャノンが良い。

又、1979年という中近東が熱かった時代を巧く描いており、冒頭テロリスト達がNSU Ro80、世界初のロータリーセダンに乗って登場するシーンは、おっと驚きました。

作品は、TVミニシリーズ6話仕立てなので、全体に冗長気味で展開がまだるっこく成っています。そこが残念ですね。もう少しテンポ良くするか、同様のミニシリーズ「ナイト・マネジャー」の様に巧く改変する必要があると思います。

監督がパク・チャヌクなので期待しましたが、その辺りはどうも上手くいっていないようです。もう少し遊んで欲しかったと思います。ロイ・ヒル版にガッカリした人は、こちらを是非ご覧ください。こちらであれば、ガッカリすることなく楽しめる筈です。

ずっと見たいと思っていましたが、日本ではWOWOWが一度放映しただけで、もう見れないと思っていたら英国で、DVDを発売していたので見ることが出来ました。本当に嬉しかった。                          八点鐘

 

追記 ル・カレ作品の映像化作品は、「テイラー・オブ・パナマ」と「パーフェクトスパイ」位だと思います。何れ手に入ったらご紹介したいと思います。

 

カメオ出演 ル・カレ先生

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