レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「エル ELLE」イザベル・ユペール魅力全開のブラックコメディですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「エル ELLE」(2016)です。

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「ロボコップ」「トータル・リコール」のポール・バーホーベン監督作品です。うーん、苦手な監督ですが何か惹かれるんですね。特に今回は、米国を離れてフランスでサスペンスミステリーとなれば、見ないわけにはいかないじゃないですか?

映画は、ミシェル(イザベル・ユペール)が自宅でいきなりレイプされるシーンから始まります。うーんバーホーベン監督、お年を召しても尖がった人で変わりませんね。

でも、彼女、淡々としており、友人達に打ち明けても警察に訴えることもない。それには理由があり、普段はゲーム会社CEOだが、彼女には暗い過去があった。でも、彼女は彼女なりに護身用ガジェトとか会社の部下から射撃の練習を始める。家庭では、母のセックスフレンドの問題、息子のフィアンセの出産、引っ越してきた隣人等色々なトラブルが彼女を襲うのだが…

この作品、サスペンスミステリーと思い込んでいましたが、違うのですね。ブラックユーモア風ラブロマンスなんですね、オフビート味がたっぷりなラブロマンスなんです。そう考えて頭を切り替えると、イザベル・ユペールの体当たり映画が素晴らしい、彼女の魅力全開なんです。お年を召していますがとても美しく、こういう女優、日本にはいないのでは。

だから、ゴールデングローブ、全米批評家、ニューヨーク批評家賞主演女優賞をすべて受賞しています。良く分かるな、だって魅力たっぷりだもの。

原作がフィリップ・ジャン、「ベティ・ブルー愛と激情の日々」の原作者です、だから展開が良く似ていて…

最後にもう一つ、この映画に登場する人たちの男女関係、結構興味深い、上手く書けませんが、男女関係って最終的にはこの映画の様になるのではと、私は思うのですが。そういう意味でフランスって侮れないと私は思います。人口統計学のエマニュエル・トッドのような凄い人も出て来るので。癖がありますがとても良い映画です。

 

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。       八点鍾

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「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」独特の世界観を持つヴァンパイア映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」(1994)です。

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映画は、サンフランシスコのある建物の一室で、ダニエル(クリスチャン・スレーター)がルイ(ブラッド・ピット)と名乗る青年にインタビューするところから始まります。彼はヴァンパイアで、レスタト(トム・クルーズ)とのなり染め、美しい少女クローディアのこと、その200年の生い立ちを語り始める…

アン・ルイスの「夜明けのヴァンパイア」を映画化した作品で、監督が「モナリザ」「マイケル・コリンズ」のニール・ジョーダンとくれば見逃すはありません。

ですが、劇場で見た時もそうでしたが、私はこの作品の世界観に馴染めませんでした。今回も同様でした。あまり面白くありません。彼女が構築したヴァンパイアの世界、何かグロいし、本家ブラム・ストーカの世界観と何か違和感があり…

ニール・ジョーダンの演出も前半特にニューオリンズのシーンは退屈ですが、美少女クローディアが登場する辺りから、何やら画面に精彩が出て来て、欧州に舞台が移ると輝き始めるのは事実ですが。全体にパッとしません。

彼の作品としては「モナリザ」「クライング・ゲーム」「マイケル・コリンズ」「ことの終わり」の方がずっと好きですが。

映画は世界的にヒットしており、アン・ライスのこの小説、この世界観に共鳴する多くの読者を持つようで、一度小説を読んだ方が良いのように思います。それから再見すると何がしかの美点が見いだせるのではと思います。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。    八点鍾

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「リンカーン」合衆国憲法修正第13条を巡る狡猾、非道、容赦ないリンカーン大統領を描く作品ですが…

レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「リンカーン」(2012)です。

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この作品、劇場で見ていた時正直ついて行けませんでした。スピルバーグ作品だから日本人の私でもリンカーン大統領について解り易く描かれているものだと勝手に思い込んで出かけたのですが。

この作品は、憲法修正第13条について知らないと物凄い退屈な、何を行っているのか全く分からない作品です。そういう意味でスピルバーグらしくない映画です。でも力作です。映画としては特殊な分野の映画で政治映画に分類されるでしょう。でも、米国人なら理解できるでしょう。反対に物足りないのかもしれませんが。その昔ピーター・ブルック監督「マラー/サド」(1968)という映画を鑑賞した時と同様な体験でした。

今回、BD版を見て時々停止させて、wikiで確認しながら鑑賞しました。こういう感じで鑑賞すれば、頭によく入り何とか鑑賞することが出来ました。

映画は、リンカーン大統領が政治生命を賭けて、この憲法修正第13条、すなわち奴隷制度廃止を、いかなる手段を使っても成立させたプロセスをじっくりと描写しています。説得、ロビイストによる買収、恫喝、こんな狡猾なリンカーン大統領は見たことありません。日本の学校では、もっともっと美化されたリンカーン大統領ですが。或る意味とても興味深い。と言うより先生の質の差もあると思いますが、自分でもう一度調べる必要があります。例えば、ニューディール政策など。

特に南北戦争の勝敗が決まり、南部連合の和平交渉団に対する扱いが興味深い。一度、勝利から遠のけば、対戦相手からの扱いはこんなものだと言うことが良く分かる。国際社会の非情さが良く描写されている。南北戦争死傷者約90万、フランス革命死傷者約100万、戊辰戦争死傷者約3万、最も欧米列強が参戦していたらもっと酷い結果になったものと思いますが。

ダニエル・デイ・ルイスが主演する映画は、何時も彼の演技に感心しますが、今回はそれがありません。というより、まるでそこにリンカーン大統領がいるようで。そういう意味では大成功しているのでしょう。

この憲法修正第13条が成立して奴隷制度は廃止されました。が人種差別は消えていません。それはここには書きませんが別の深い理由があるものと思います。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。      八点鍾

 

追記 「マラー/サド」とは、マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺』というフランス革命を扱った映画のこと。傑作ですが…この作品もフランス革命に対して造詣が深くないと全く理解できない作品なのです。

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マラー/サド





番外編「DUNE/デューン 砂の惑星」「最後の決闘裁判」その他 新作の紹介

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日は少し趣向を変えて話題の作品をご紹介したいと思います。

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「DUNE/デューン 砂の惑星」

「メッセージ」「ブレードランナー 2049」がたまらなく好きな方は、ぜひご覧になって下さい。リンチ版よりスタイリッシュに、よりSF的な造形の映像美に魅了されるはずです。細かいところまで気が配られた映画になっています。出来ればIMAXでご覧なればなおいいと思います。一例を上げます。オーニソプターの造形を見るだけでご理解いただけると思います。

なお、少しだけネタを明かしますと、映画はポールがフレメンに迎い入れられる迄です。リンチ版の半分になっています。

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                                            オーニソプター

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コンセプトアート

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コンセプトアート

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コンセプトアート

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wwws.warnerbros.co.jp


「最後の決闘裁判」

巨匠リドリー・スコット監督最新作。あなたは「エイリアン」派?それとも「デェリスト/決闘者」派?  実は私「デュエリスト/決闘者」派なんです。だから、リドリー剣劇映画が好きなんです。この作品少し長いですが、ラストの決闘シーンなんか80過ぎの高齢者!失礼、が撮った作品とは思えないほど迫力があります。うーん、美しいです。好きな映画です。「ハウス・オブ・グッチ」も期待できそう。

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www.20thcenturystudios.jp


その他新作

マトリックス新作が12月に公開されるそうです。

wwws.warnerbros.co.jp

「アイス・ロード」こちらの方が面白いかも。

gaga.ne.jp

 

以上 今日は趣向を変えて…   八点鍾

 

 

「ヒンデンブルグ」ロバート・ワイズ監督のパニック大作映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ヒンデンブルグ」(1975)です。

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懐かしい作品です。丁度この頃、日本映画界はパニック映画が中心で、この作品もパニック映画として公開されたことを覚えています。加えてあの「バリー・リンドン」公開から1週間遅れで公開され、だからいくらロバート・ワイズ監督作品といっても、キューブリック監督には勝てませんから興行的には大変だったと思います。まあ「バリー・リンドン」も興行的には大変だったと後で聞きましたが。

映画は、マイケル・M・ムーニーの小説をもとにヒンデンブルグ号爆発事故をグランドホテル形式、あの「オリエント急行殺人事件」スタイルで作れられたサスペンススリラーになっています。監督が良いんですね、「拳銃の報酬」「ウェストサイド物語」「たたり」「砲艦サンパブロ」「アンドロメダ…」の名匠ロバート・ワイズ、でも、当時この作品の評価はあまり良くありませんでした。当時、日本の批評家が劇中日本の札(千円札)登場し、時代考証が出来ていない空虚な大作なんてボロボロ書いて、実際その通りで千円札がチラリと画面に出てきます。でも、飛行船内部、アルミで作られた骨組み、縦通材、16個の木綿性ガス嚢なんか正確に再現していて、更にアルミニウム製ピアノまで登場するのですから、少し悔しいですね。

今回、再見して良く出来た作品だと確信しましたが、肝心のヒンデンブルグ号大爆発シーンが記録映像の為、意外に盛り上がっていないことがよく理解出来ました。ここなんですよ、この作品の最大の欠点はいまならCGで物凄く上手く表現出来るのに。

ても、反対にSFXによるヒンデンブルグ号の飛行シーンは素晴らしいのですが。特に北海上空で飛行船左水平尾翼の外皮修理シーンはなかなかの迫力でこの映画、一番の見せ場です。ルフトヴァッフェから移動してヒンデンブルグ号の保安主任となるリッター大佐をジョーシ・C・スコット、ウエスラ伯爵夫人をアン・バンクロストとキャスティングも少し渋い。

デヴィッド・シャイアの美しい音楽に包まれて、蒼空を悠々とと飛行するヒンデンブルグ号は本当に美しく、その映像は私のみならずすべての人を癒してくれるのは間違いありません。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。    八点鍾

 

追記 その昔、仕事でフリードリッヒスハーフェンを訪れた時、ツェッペリン博物館に行きましたが、定休日で閉館していました。残念でした。

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www.youtube.com         画質が良くありませんが…

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「キャリー」 プロム大惨劇を描いたブライアン・デ・パルマ作品のリブートですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「キャリー」(2013)です。スティーヴン・キングの同名の小説を原作としています。

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デ・パルマ作品はかなりヒットしたようで、以後彼はスター監督の道を歩んでいきます。最近は、お年のせいもあり映画からご無沙汰のようですが。

映画は、ハイスクールに通うキャリー(クロエ・グレース・モレッツ)はグルーミーで、ドジで、変わっている三拍子揃った救いようがない女の子。が彼女はサイコシネキス(念動力者)だった。母親(ジュリアン・ムーア)もどこかおかしく、何かあるごとにキャリーを階段下の物置に入れ、反省を促す厳しい性格。

ある時、彼女は初潮を迎えるが、母から何も聞いてなくパニックを引き起こす。そんな彼女を学友たちはバカにして、彼女に生理用品を投げつけてあざ笑い、画像をネットに投稿される。もうボロボロ状態に。

学友たちはリタ先生に怒られるが、何も感じていない。その中のスーだけが反省し、自分のボーイフレンド、トミーにお願いして、近く行われるプロムでキャリーを誘って、彼女を勇気づけようとするが、キャリーを虐めてプロムに参加できなくなったクリスは、反対にキャリーを更に辱めようとするのだが…

この作品は全体にオリジナル作品を踏襲した作品で、違いは後半のシーンでCG多用してデ・パルマ作品では出来なかったようなシーンの連続になります。とは言っても、おっと驚くようなショットは無く、無難な形で纏められています。

私が気になるのは、キャリーを演じた(クロエ・グレース・モレッツ)で、可愛い過ぎるように思います。オリジナルはシシー・スペイセクで、その容貌容姿が結構役柄に合ってしましたが、彼女の様に可愛いと映画の様に、救いようの無い女の子は難しいように思いましたが。反対に「キック・アス」(2010)の様な作品であればドンピシャなんですが。だから、ジュリアン・ムーアの怪演も空回り気味で…

監督は「ボーイズ・ドント・クライ」のキンバリー・ピアース、この映画、もう少し遊んでもいいように感じます。最近はTVでの活躍が多いようですが。

このブログ作成にBD版に鑑賞しています。      八点鍾

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「キャッシュトラック」本格ノワールスリラーの登場、フランス映画「ブルーレクイエム(Le Convoyeur)」のリブート作品ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「キャッシュトラック」(2021)です。

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映画は、"H"と呼ばれる男は、現金輸送会社フォーティコに入社した。男には目的があった。それは、昔この会社の現金輸送車が襲われた時、近くいた息子が武装強盗団に殺され、助けようとした"H"も銃撃を食らったが、かろうじて助かった。"H"はその武装強盗団を許すことが出来なかった。奴らの仲間が現金輸送会社にいるはずだと睨んだのだったが…

ずっと待っていました、ハリウッドリブート作品を。映画は大変良く出来ています。監督はガイ・リツチー、独特の映画話術が冴えています。リブート作品の方が遥かに良い特殊なケースになるのではないでしょうか。

理由は「ブルーレクイエム」をご覧になった方は判ると思いますが、小品で良い映画ですが地味過ぎます。対してハリウッド版の方がホンが良いと思います。全体にオリジナルと同じですが、仏版は主人公が堅気なんですが、こちらは組織暴力団のボスが身分を隠して現金輸送会社フォーティコに務めるのですから。話が面白く出来ています。おまけにその主人公"H"をジェイソン・ステイサムが演じます。だから、アクションのキレが良く、又ラストのデポでの銃撃戦はハリウッドに軍配が上がります。H&K G36Kの高速連射シーンとても迫力があります。

その後のラストシーンも味があり、あの「殺しの分け前 ポイントブランク」と同じ味わいが… うーん、美しいです。                    

この手の作品の好きな方は必見だと思います。個人的には007より必見だなと思いますが。                           八点鍾

 

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