レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

番外編 昔々名古屋にこんな映画館がありました…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日はその昔名古屋に存在したある映画館のお話をしたいと思います。

ミリオン座

名古屋ってこんなことをよく言われます、文化の墓場だと。それは、まずまずの人口と働くところにはまあ恵まれていますが、東京より古い街にもかかわらず、文化財の少ないところで。唯一の文化財、名古屋城は、先の大戦で焼失して、戦後建て直したのは良いのですが、コンクリート製で…

だから学生時代、私が東京に下宿していた時、古い映画、又興行価値の少ない映画を上映している映画館が多数あるのには驚きました。

対して、名古屋は数軒という有様。それは現在でも同じで4~5軒程。その昔、南部圭之介氏の映画評論を読んでいた時、戦前の名古屋にはユニークな映画館があったと書かれていました。氏曰く、それは「八重垣劇場」と言う映画館で、日本でも珍しく俗にいう芸術性の高い映画を上映していたとの事。

当時のことを知っていた人に聞くと、ああ、有ったね、良い映画を上映していたねと聞いたことがありました。現在で言えば、「伏見ミリオン座」ですが、その当時、名古屋にもその手の映画館が存在していたに少し誇らしく思いました。

現在、名古屋では芸術性が高く、興行価値の高くない映画は、前述した伏見ミリオン座、ナゴヤシネマテーク、名演小劇場等で上映されています。

特に、伏見ミリオン座は私が学生時代から延々とこの手の映画を上映しており、この映画館が無ければ、タルコフスキー作品、リドリー・スコット「デュエリスト/決闘者」、メルヴィル作品、初期のポランスキー作品、ロバート・アルトマン作品も見ることが出来なかったでしょう。本当に感謝しています。        八点鍾                   

 

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八重垣劇場

名演小劇場

ナゴヤシネマテーク

追記 このブログを立ち上げる時、本当は"架空シネマテーク"と言う題名にしたかったのですが、小林信彦さんに怒られそうなので、学生時代よく言っていた新宿ローヤル館のお名前をお借りしました。レタントンはベトナムに滞在していた時、住んでいた処ですが。

 

 

「ジェラシック・ワールド/新たなる支配者」シリーズ最終作ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ジェラシック・ワールド/新たなる支配者」(2022)です。

あの「ジェラシック・パーク」から6作目で、第二シリーズ「ジェラシック・ワールド」第三作目完結編です。

今回は、人間と恐竜がほぼ共存するような社会で一部の人間が恐竜の子供を密売しようとしており、又巨大イナゴを大量に生育し世界の食料市場を牛耳ろうとする世界有数の遺伝子工学会社の陰謀を暴くオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)を描いています。

映画は手堅く纏められており、アクション、恐竜もふんだんに登場し飽きさせません。

のんびり鑑賞する分には申し分ないと思います。鑑賞した劇場にはお子さん衆も多く、私の座っていた処にお菓子、その袋など飛んできて一緒のお母さんも大変です。

でも、このシリーズも6作目でやはりマンネリ気味というか、素晴らしい悪役の登場が必要だと思います。ケチ臭いCEOではなく、スペクター並みの悪を登場させて欲しいと思います。

あの第一作「ジェラシック・パーク」のワクワク感はとても希薄になっています。やはり、ここは、暫くお休みにしてもう一度「ジェラシック・ワールド」の世界を再構築するのがよろしいかと思いますが。

この手の映画は大好きなので、もっともっと知恵を絞って欲しいと思います。例えば、クレアを演じるブライス・ダラス・ハワードは演技力もありとても良いのですが、もう少しセクシーな女優がよろしいのではないでしょうか? 生真面目過ぎて存在感が何か…

 あの「恐竜100万年」のラクウェル・ウェルチ嬢のような。この手の作品、誰も女優の演技力など要求しませんので…少し古いですがアマンダ・セイフィールド、ヘザー・グラハム、若手ではシドニー・スウィーニー、特にシドニー・スウィーニーなんか良いと思いますが。                 八点鍾

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   ブライス・ダラス・ハワード(ジェラシックワールド/新たなる支配者)より

こちらがシドニー・スウィーニー嬢 広告媒体より





番外編 日本の映画館で思う事

レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。最近、日本の映画館で色々思うことがありましたのですこし書き連ねたいと。

3年程前までベトナムで仕事をしていました。週末は映画館で映画をよく見ました。ベトナムでもシネコンで、多くが韓国資本のシネコンが多かったように思います。

日本に帰国してからも週末は映画館で過ごすことが多いのですが、日本の映画館は本編が上映される前にCMが多いように思います。例えば、美容整形、歯科医、キュー〇マヨネーズ、ビルメンテナンス会社、脱毛などなど。

出来れば、映画の予告編を何十本でも良いからやって欲しいと考えているのは私だけでしょうか? 映画とは関係ないCMをやるほど儲かっているのでしょうか?

外国、米国、フランス、シンガポール、チェコ、フィリピン、タイ等で映画館へ行きましたが、日本が一番多いように思います。CMを流すのであれば、映画の予告編をお願いしたいのですが…

ベトナムのCMは、映画館によって違います。サムソンの携帯、マセラティの新型SUVのCMが多かったように記憶しています。           八点鍾

 

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日本で上映されるかどうか知りませんが、予告編見るのって楽しいですね。

 

「ストーリー・オブ・マイ・ワイフ」女優レア・セドゥの新作映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ストーリー・オブ・マイ・ワイフ」(2021)です。

ハンガリーの新鋭女性監督イルディコー・エニェディのラブロマンス映画です。上映時間が三時間弱と言う大作で、あのレア・セドゥ、オランダ人男優ハイス・ナバーが共演します。

映画は、貨物船船長ヤコブ(ハイス・ナバー)は友人とカフェに入る時、賭けをする。次に入って来た女性と結婚をすると。入って来た女性はリジー(レア・セドゥ)に結婚を申し込み、彼女は快く受け入れ二人の新婚生活が始まるが、やがて彼女の友人デダンが現れ始めると二人の仲は段々おかしくなって行き…

いや、この女性監督のラブロマンス映画、加えて三時間弱の長尺物ってある意味、拷問に近いですね。但し、誤解を招く恐れがありますから付け加えますが、映画は真摯に纏められています。或る意味良く出来ていますが、私と感性があいません。

女性監督ってレニー・リーフェンシュタールから始まり、アニエス・ヴァルダ、ジェーン・カンピオン、キャサリン・ビグロー等色々と頑張っていますが、どちらかと言えばハリウッド系の女性監督とは感性は合います。でも、この方はちょっと…

何というか描写に厚みがないと言うか、見ていて飽きてしまいます。これなら、デビッド・リーン監督「ライアンの娘」をもう一度見た方が良かったなと。あの不倫描写も良いですが、例えば、冒頭の風に舞うパラソル、兵舎の発電機が動き出す音、あの物凄い嵐の描写、ドイツ軍から送られた武器類を村人全員で拾い集めるシーン等こういうシーンがあるので映画に厚みが増すのですが…

この作品で言えば、例えばヤコブ船長は貨物船船長ですが、航海中の描写が少なくて有ってもありきたりの描写ばかりで、実際、操艦、機関室、貨物の荷下ろし等色々ありますよね。ラブロマンス映画だから、そんなものは必要ないと言えばそれまでですが…

そういうのを期待したいのであれば、まずまずのラブロマンス映画に仕上がっています。主演の二人はなかなか良いと思います。特にハイス・ナバーはとても良いと思います。先ずは、ハリウッドで悪役からでしょう。

ということで辛口のご紹介になってしまいましたが、この作品二時間程度に纏められていたら、又BD版を自宅で鑑賞すると言う事であれば、結構好きな一本になると思います。理由は主演の二人がなかなかイカスので。         八点鍾

 

mywife.ayapro.ne.jp

 

番外編 ジャン=ポール・ベルモンド傑作選3の紹介ですが…

レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介するのは、又始まります。そう、ジャン=ポール・ベルモンド傑作選が9月2日から、うーん、美しいです。

今回は、「華麗なる大泥棒(フランス語版)」

    「冬の猿」

    「パリ警視J」

    「勝負(かた)をつけろ」

       「ラ・スクムーン」

    「薔薇のスタビスキー」

    「ベルモンドの怪盗二十面相」となっています。

私、個人のお薦めは、やはり「ラ・スクムーン」と「薔薇のスタビスキー」ですが、あまり商売にならないかもしれませんが、「ビアンカ」と「フェルショー家の長男(未)」をお願いしたく。特に「フェルショー家の長男」はジャン=ピエール・メルヴィルの日本未公開作品で、是非とも公開して欲しい作品なんですが。

 

あらすじ

かつて考えていたボクサーとしてのキャリアをあきらめざるを得なかった若い男ミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)は、フランスを離れることを余儀なくされた古い銀行家、デュードネ・フェルショー(シャルル・ヴァネル)の秘書兼ボディーガードとして雇われます。ニューヨークで、そしてニューオーリンズで、2人の男性は猫とネズミを演じながらお互いをよりよく知るようになるのだが…(Wikiのあらすじより)

 

belmondoisback.com

 

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「怪談」小泉八雲原作をもとに小林正樹監督の異色作ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「怪談」(1965)です。暑い暑い日本の夏ですから、こういう作品も良いかなと思い取り上げてみました。

小林正樹監督作品で初のカラー作品です。彼の作品は「人間の条件 三部作」「切腹」「上意討ち 拝領妻始末」「化石」「東京裁判」等があり、日本を代表する監督と言っても良いと思います。

映画はオムニバスになっており、第一話「黒髪」第二話「雪女」第三話「耳なし芳一の話」第四話「茶碗の中に」と言う構成になっています。第二話、第三話は皆さんも良く知っていると思いますので、ここでは第一話と第四話を簡単に記します。

「黒髪」京都に住んでいた侍が、困窮に負けて妻を離縁して国守として仕官した。家柄の良い娘と再婚して任地に赴くとその妻はわがままで冷酷であった。任期を終えると優しかった昔の妻の元に赴く。妻は温かく歓迎してくれたが、翌朝目を覚ますと彼は妻の屍の隣で寝ていた。

「茶碗の中」天和三年(1683)の事。中川佐渡守の家臣、関内は喉が渇いたので水を飲もうとして茶碗に水を汲み飲もうとした時、男の顔が写っていたのを認める。気味が悪かったが構わず飲み干した。夜勤をしている時、あの茶碗に写った男が現れ、彼は斬りつけた。男は闇の中に消えたが、ある夜彼の屋敷に三名の武士が現れ言う。

「主人は貴公に切りつけられ療養中である。来月十六日に恨みを果しに来る」と。関内は刀を抜き、彼らに斬りかかった…

この映画は怖くありません。強いてあげれば「茶碗の中」が一番怪談向きかなと思える程ですが。どちらかと言えば大学で東洋美術を専門に勉強したという監督の知性と言うか美術趣味がとても良く出た、幽玄的な作品になっています。

更に映画は商業映画ですが、かなり実験的なことを試みており、例えば作品はほぼ全編がセット撮影しており、「黒髪」では映画音楽の一部が音響効果の様な事をしており、「雪女」では空に目の様な物が漂い、異様と言うより不思議なシュールな、少し前衛的な前衛的な味わいを感じます。

特筆すべきは、音楽というか音響効果も含めて武満徹、撮影 宮島義勇、美術 戸田重昌、色彩美術顧問 碧川道夫と言うスタッフの素晴しさだと思います。特に武満徹の音楽は素晴らしいと思います。うーん、本当に美しいです。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。        八点鍾

 

追記 この映画は大作で、オールスター映画になっています、例えば仲代達矢、三國連太郎、岸恵子、新珠三千代、佐藤慶、滝沢修、田中邦衛、丹波哲郎、志村喬等。

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「偉大なるアンバーソン家の人々」あのオーソン・ウェルズ監督第二作ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「偉大なるアンバーソン家の人々」(1942)です。

映画は次の通りです。

富豪アンバーソン家のイザベルは、同じ街に住む若者ユージーン(ジョセフ・コットン)の求愛を断って別の男と結ばれる。生まれた息子ジョージはアンバーソン家の家名を笠に着てえばる嫌な男だった。ユージーンは街を出て自動車会社を興して、別の女性と結婚しルーシーと言う娘を得た。やがてユージーンは、妻が死別したので娘を連れて再び故郷に帰って来た。それは、再びイザベルに逢うためだった…

あの「市民ケーン」を監督した天才というか巨匠オーソン・ウェルズ第二作です。ですが、残念ですが「市民ケーン」には及びませんがなかなか見せてくれます。但し、私が鑑賞したプリントの状態が良くないので、何か印象が良くありません。IVC製ブルーレイですが年代を考えれば決して悪いとは言えませんが…

又、最初の作品は二時間強の上映時間ですが、今回鑑賞したのは約90分の短縮版で、現在この版しか残っていないようです。だから、物語も解かりにくて…

でも、アンバーソン家の豪邸のセット、いつもようなローアングル、時々現れる長回し等見所はかなりあります。「市民ケーン」は時間軸を壊したシナリオ構成が見事でしたが、こちらはぐっとオートドックスでスタンダードな構成なラブロマンスであり、又ジョージ・スティーブンス監督「ジャイアンツ」の様な人間関係、自動車業界を捉えた先進性のあるドラマとしてはこちらの方が見応えはあります。前述したようにかなりカットしてあるので判りずらいと思います。本来であれば二時間版での印象をご説明したかったのですが、現在ではそれは無理と思われますので…

もし、この作品に興味を持たれた方は是非ご覧になって下さい。必ずや何かを得ることが出来ると思います。何かの拍子で完全版が現れることを願うばかりです。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。           八点鍾

 

映画はこのアングルが多くて、このアングルが好きなファンはたまらないでしょう

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