「怪物はささやく」ファン・アントニオ・パヨナ監督のファンタジードラマですが・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「怪物はささやく」(2016)です。

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映画は、夢想する少年の物語。孤独な少年コナーは何時も想像にふけっている。ママ(フェシリティ・ジョーンズ)は病気でベッドに伏している。祖母(シガニー・ウィーバー)は自分に辛く当たるので好きではない。

学校ではいじめっ子にいじめられ、まったくたまらない。

 

窓から外を眺めると、丘の上にある墓地の処にある大きな木が動き始めて、怪物になって自分の処にやって来る。

三つの物語を話すから、一つ自分の物語を話すのだとその木の怪物は話すのだが・・・

 

この作品、子供が主人公の怪物ファンタジー物と思い、軽く考えていたのが間違いでした。意外にしっかりした造りの子供を主人公にした人間ドラマになっていたのに驚きました。どちらかと言えば重い感じで。

 

Wikiで調べると、この監督、前作が「インボッシブル」と2004年スマトラ沖大地震の大津波を舞台にした映画を撮っているので、多分、このテーマが彼の映画製作の原点なのでしょう。

 

CGを含むSFXは、特にアニメーションはとても良く出来ているので、いずれもっと良いホンに出会えば、大ブレークするものと思います。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。    八点鍾

 

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「インサイド・マン」スパイク・リー監督の抜群に面白いケイパー映画・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「インサイド・マン」(2006)です。

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映画は、マンハッタン信託銀行に塗装工を装った犯罪グループ数名が押し入ります。リーダー(クライヴ・オーウェン)は、銀行員、客を人質にとって立てこもります。リーダーは巧妙な計画を練っているようで、持ってきたサングラス、マスク、作業服を人質に着させます。

 

銀行が襲われたとケイス会長(クリストファー・プラマー)に報告が入ると、彼はやり手の弁護士ホワイト(ジュディー・フォスター)に連絡を入れて、政治的なコネを利用して、犯罪グループと連絡を取って欲しいと依頼する。

 

NYPDの交渉人フレイジャー(デンゼル・ワシントン)達は銀行に駆け付け、交渉を始めるが、どうも金目当ての犯行ではなく、別のものだと気づくのだが・・・

 

監督があのスパイク・リーです。棘っぽい政治ドラマならできるが、サスペンススリラー、ましてやケイパー(銀行強盗)映画なんてできないだろうと劇場公開をパスしました。ある時、WOWOWで放映していたのをたまたま後半半分だけ鑑賞しました。

うーん、しまったと思いました。やはり先入観で判断しては駄目だと。今回、たまたまBD版を購入、ようやく鑑賞出来ました。

 

主演者皆、好演でとても素晴らしいサスペンススリラーになっています。特にクリストファー・プラマーとジュディ・フォスター、二人のワルぶりは素晴らしいと思います。

プラマーは、街に血が流れる時は買い時だなんてほざいて・・・、「シリアナ」といい「ゲッティ家の身代金」等もうこういう役をやらせたら右に出る人いないじゃないかな。

フォスターも、こういう役が出来る女優とは思いませんでした。ワルが似合う女優、ファム・ファタール味たっぷり。

 

やはり、リー監督、力あります、巧いです。政治的な発言を控えて淡々と映画作りに専念してもらうともっともっと評価されると思います、もっとコアなファンも増えると思いますが、残念だな。娯楽映画と政治映画、二本立てで仕事を進めるといいのに。

まだまだ、若いんだなと思います。

 

フレイジャーは、カルティエの指輪を調べるでしょう。そして、その持ち主を調べ、ケイスの悪行を公表するかもしれませんが、ケイス会長は高齢を理由に何も喋らないでしょう。

 

巨悪は眠らず。世間様から距離をとって、ひっそりと暮らしている巨悪って映画向きですよね。                            八点鍾

 

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wedplain15.hatenablog.com

 

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「アウトロー」トム・クルーズ主演新シリーズ・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「アウトロー」(2012)です。

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監督は、異色作「誘拐犯(2000)」で名を上げたクリストファー・マッカリーです。なかなか監督選びは上手いと思います。

 

米国ピッツバーグ、スナイパーライフルで無差別に狙撃される事件が発生し、狙撃現場に残された薬莢とパーキングメーターに残っていたコインからの指紋で米陸軍の元狙撃兵ジェームズ・バーが逮捕される。

 

取り調べ時に、彼はジャック・リーチャーを呼んで欲しいと。彼は流れ者でどこにいるか分からないが、ジャック・リーチャー(トム・クルーズ)がピッツバーグにやって来た。彼はバーに会うが、彼は護送中他の受刑者から暴行を受け、昏睡状態だった。

 

担当弁護士ヘレン(ロザムンド・パイク)共に、事件を洗い始めると意外な事実が浮かび上がるのだった・・・

 

この作品は、リー・チャイルドのベストセラー小説「アウトロー」を映画化したもので、押しが強く頭の切れる元軍人ジャック・リーチャーを主人公に悪と戦う物語で、スター映画ですが、とても良く出来た映画になっています。

 

特に、シューティングレンジの親父キャッシュ(ロバート・デュヴァル)が後半、リーチャーの相棒として一緒に悪共と対決するガンアクションシーンはなかなかの見せてくれます。悪"ザック"にヴェルナー・ヘルツォーク監督(「アギーレ/神の怒り(1972)」)が俳優として共演しているのに驚きました。とても不気味で、迫力あります。

 

個人的には、トム・クルーズの別作品MIシリーズで世界制覇を狙う巨悪程ではないにしろ社会に巣つくる悪達を叩きのめすハードボイルドノワールアクションとして育てて欲しいと思います。

私は、たまたま彼の主演作「卒業白書」から「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」まで大体見ていますが、もう本当に、トム・クルーズは名実ともに大スターというよりレジェンドですね。

 

ハチの巣になったメルセデスC250CDIはもったいないですね。

 

このブログ作成にBD版を鑑賞しました。       八点鍾

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「バーティカル・リミット」B級山岳冒険アクション。美しいです、スコット・グレンの存在が・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「バーティカル・リミット」(2000)です。

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山岳冒険アクション映画です。それもクレバスに落ち、遭難した仲間を救う為、ニトログリセリンを背負って登山するハラハラドキドキ映画。そりゃないでしょと誰もが思うですが、やるんですよね、この映画。

監督はマーテイン・キャンベル。そう、「007 ゴールデンアイ」とか「007 カジノ・ロワイヤル」の監督です。観客が喜ぶのであれば、何でもやるよというスタンス、好きだな。

元々、この監督、中部地区で初めて放映されたTVシリーズ「特捜班CI-5」からのファンで、アクションが上手い、キレが良い。この作品も色々見せてくれます。馬鹿らしいところもありますが。

 

バーティカル・リミットとは、限界高度のこと。映画は、米国モニュメントバレーのクライミングシーンから始まります。前を登っているクルーが失敗して、ピーター(クリス・オドネル)、妹アーニー、父ロイスが宙吊りになり、父の命令で仕方なくロープを切り、ピーターとアニーは助かった。それ以降、妹アニーと疎遠になってしまった。

 

動物写真家になったピーターは、K2にいた。偶然、アニーが企業家登山チームに加わっているのを知り会うが、互いに気まずい雰囲気。

が、その登山チームが悪天候の為、遭難したことを知ると救出チームに加わる。アニー達3名がクレバスに落ちているので、チームは特殊容器に入ったニトログリセリンと共に登山することになる。

 

そして、このK2を知り尽くしている伝説のクライマー、ウィック(スコット・グレン)をチームに加え、女性隊員モニク(イザベラ・スコルプコ)を加えた救出チーム6名はヘリコプターに乗り込み、救出に向かうのだが・・・

 

このウィックを演じるスコット・グレンが良いだな、もう彼の映画と言って良いぐらい。「地獄の黙示録」「最後のサムライ ザ・チャレンジ(未)」「ライト・スタッフ」「シルバラード」「羊たちの沈黙」等個性派準主役一筋の男優だけど、この作品では本当に光っている。山岳風景も素晴らしい、撮影監督はデヴィッド・タッターサル。

 

前述したようにマーティン・キャンベル監督なので、アクションのつるべ撃ち、ヘリコプターから岩場に各人が飛び降りるシーンから始まり、ニトロが爆発し、クリフハンガーになるシーン等見せてくれます。

この映画からだと思いますが、CGでとても上手くアバランチ(雪崩)を作れることになったので、まさに本物のよう。その昔「女王陛下の007」の雪崩シーンとは比べ物にならない。

アッと驚くような場面もありますが、楽しめます。

 

このブログ作成にスーパービットDVD版を鑑賞しています。      八点鍾

追記

その昔、映像情報の転送レートを倍にしたSuperbit-DVDが販売されたことがあります。その時購入したのがこの作品です。普通のDVD プレーヤーではあまり違いが確認できなかったので、この作品だけしか購入しませんでした。

現在、BDプレーヤー、HDMIケーブルで鑑賞すると普通のDVD作品よりかなり良いですが、BD作品より落ちるということが少し前に確認できました。つまり、もう存在意義がないということですね。もうお店では見かけませんが・・・

 

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「戦争プロフェショナル」これぞB級戦争アクションの醍醐味。但しラストがね・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「戦争プロフェショナル」(1968)です。

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この作品、監督がジャック・カーディフです。ジャック・カーディフと言えば、撮影監督での業績が有名で、特にマイケル・パウルスとエメリック・プレスバーガーとのコンビで「天国への階段」「黒水仙」「赤い靴」は映画史に残る業績だと思います。

又、ヒチコック監督「山羊座の下に」、ジョン・ヒューストン監督「アフリカの女王」と素晴らしい業績を残している第一級というより英映画産業の至宝と言って良いと思います。

その彼が、アフリカ、コンゴ動乱を舞台にした戦争活劇を監督するとは・・・原作はウィルバー・スミスの小説「カタンガから来た列車」

 

1964年頃コンゴ共和国。ユビ大統領に呼ばれた傭兵カリー大尉(ロッド・テイラー)と相棒ルーホ軍曹(ジム・ブラウン)は、反乱軍シンバに率いられて、ダイヤモンド鉱山地区に孤立している避難民救出と保管されている5千万ドル相当ダイヤモンド搬出作戦を依頼される。

 

蒸気機関車に簡単な戦闘車両を繋ぎ、素質優秀なコンゴ兵1個小隊40名程を引き連れて。カリーには不安があった。小隊付き将校、元ナチのヘンラインが何かにつけ、絡んでくるのだ。

 

国連軍の戦闘機に機銃掃射をうけるが、ドンネルに逃げ込み、途中シンバ達に襲われ隠れていたクレア(イヴェット・ミミュー)を救出する。鉱山に着くと、ダイヤモンドはタイムロック金庫に保管されており、3時間待機することになった。

 

やがてシンバ反乱軍が雲霞の如く、襲撃してくるが、避難民とダイヤモンドを持って鉱山から脱出に成功する。が、列車連結部に迫撃砲弾が命中し、その客車がシンバ反乱軍の方に動き出してしまう。その中にはダイヤモンドを預かる鉱山所長もいた。

 

カリー達は、残った住民を山中に避難させ、残りの兵士を連れ、ダイヤモンド、敵のトラックを強奪する作戦を敢行する。列車にいた避難民は殺され、暴行されドロドロヘロヘロの状態の中、作戦は実行され、ダイヤモンド奪還に成功するが、ガソリンタンク車が攻撃を受け大爆発。

 

カリー達は脱出に成功しトラックで首都に向かうが、ガソリン不足で動けない。ガソリンを空輸して貰う為、連絡に行くが、ヘンラインがルーホを殺害し、ダイヤモンドを強奪しようとするがダイヤはなく、そこに帰って来たカリーは、ルーホの遺体を見て怒り狂い、ヘンラインを追うのだが・・・

 

私が一番首を傾げるのは、ラストです。普通の娯楽映画ですから、何もこんなラストにしなくてもと思います。カリー大尉をもっとヒーローらしく映画いた方が商売になるのではと思う次第です。

ほら、下手な真実より巧みな嘘という言葉があるでしょ。

 

ラストを除いて、若干グロいシーンもありますが、なかなか良く纏まっているB級アクション映画です。ジャック・ルーシェの不気味な音楽もとても好ましいと思います。そして、何もジャック・カーディフ先生が監督しなくてもと私は思います。

個人的には、あの名作「ブルー・マックス」を取り上げたジョン・ギラーミンあたりがが監督した方がさらに良いものが出来たのではと思いますが。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。但し、このDVDは、シネマスコープ版をトリミングしてスタンダード版にしたもので、画質があまりよくありません。シネマスコープ版を鑑賞すれば、もう少し印象が変わるかもしれません。     八点鍾

 

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「トータル・リコール」アーノルド・シュワルツェネッガー&ポール・バーホーベン監督B級味満載SF映画・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「トータル・リコール」(1990)です。

 

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 1990年と言えば、日本はバブル経済真っただ中、夏にイラク軍がクウェートに侵攻、米国は湾岸戦争の準備を始めるのだった。

そのタイミング、12月に公開された映画は、日本でも大ヒットした。

 

ポール・バーホーベン監督は、オランダ出身の新鋭監督で、オランダ時代からかなりドギツイ表現が得意な人で、「ロボコップ(1987)」も暴力描写がドギツかったが、「四番目の男(1982)」「氷の微笑(1992)」「ショーガール(1995)」「スターシップ・トゥルーパーズ(1997)」これら作品もどれもが飛び散る鮮血、エグイセックス描写等などでならしたお方でした。そう、たとえは良くないかもしれませんが、一番元気な頃のケン・ラッセル監督の様でした。

 

この作品も、フィリップ・K・ディックの小説「追憶売ります」を基にしたSF映画で、普通の労働者グエイド(A・シュワルツェネッガー)が、実は秘密諜報員ハウザーで、火星社会を支配するコーヘイゲンと対決し、その支配体制を叩き潰す話で、それに元妻ローリー(シャロン・ストーン)とコーヘイゲンの手先リクターが絡むのですが・・・

 

どちらかと言えば、苦手なバーホーベン監督ですが、この映画はかなり好きです。勿論、飛び散る鮮血、骨が砕ける音、引き千切られる腕等は勘弁して欲しいのですが、火星エイリアン遺跡、ミュータントのメイク、その火星住居等がB級ティストたっぷりなのと、このストーリが、ヒチコック監督「北北西に進路を取れ」のようでなかなか面白いのと物凄くテンポが良いのが、この映画の魅力だと思います。

加えて、何も考えずにいきなりマシンガンを撃ちまくるリクター等、変な魅力いっぱいで。

ホントに面白く出来ています。今見ても悪くありません。

 

このブログ作成に、4Kデジタルリマスター版を劇場で鑑賞しました。映画を見て気付いたのですが、日本語吹き替え版でした。               八点鍾

 

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「シリアナ」大中東圏を夢想する王子、CIAエージェント、司法省、テロ組織等色々と絡み合うアルトマン風エスピオナージスリラー・・・

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「シリアナ」(2005)です。

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スティーブン・ギャガン監督の社会派エスピオナージスリラーと言って良いと思います。スタイル的には、昔コスタ・ガブラス監督作品「Z(1969)」「告白(1970)」「戒厳令(1972)」に近い味わいの映画です。

又、この作品では脚本も書いており、あの麻薬ビジネスを描いた「トラフィック(2000)」の脚本も書いているので、どういう作品か理解できると思います。

 

映画は、CIAエージェント、ボブ(ジョージ・クルーニ)はテヘランでスティンガーミサイル2発を過激派グループに売ります。1発は別の男達が持って行き、もう1発はプジョーに積み込むと爆発する。

ボブは、ワシントンに戻り、政府関係者に中東情勢を説明しますが、官僚的で意欲的でないということで管理職に付けず、ベイルートとの現場に派遣されます。

 

ワシントンでは、コネックス社とキリーン社が合併する。理由は、コネックス社が中東での採掘権を中国に奪われたからだが、何か裏があるだろうと弁護士事務所CEOホワイティング(クリストファー・プラマー)が部下の弁護士ベネットに調査を命じる。

 

コネックス社が合併することで、パキスタン人ワシームは解雇され、やがてイスラム神学校に誘われて、過激派集団の一員に。

 

ジュネーブで、石油関係のデリバティブ商品のアドバイザーをするブライアン(マット・デイモン)はハメド王子のパーティに家族を連れて参加しますが、プールの照明が壊れており、プールに入った長男は感電死してしまう。

ある時、ハメド王子に呼ばれたブライアンは、経済アドバイザーになって欲しいと言われる。彼は、米国に従属している祖国を中国の力を利用して、大中東圏を築き上げたいと夢を語り始める。

 

この4つのエピソードが絡み合って、物語は進みます。そして、米国はプレデター無人機を使用して・・・

 

シリアナとは、"パックス・シリアナ"という外交用語から来ています。意味は"シリアナの平和"ということで、第一次大戦後、オスマン帝国は敗北した為、列強によって領土分割、併合されました。特に現行シリア辺り領土は、誤った国境によって分割、構成されていることを意味しています。映画ではその事を言っていませんが、時々出て来る大中東圏と置き換えると判り易いと思います。

 

映画は物凄い力作です。商業ベースにならないような内容を咀嚼(そしゃく)して、出来るだけ分かり易くしています。でも、この辺りが限界でしょう。その努力を高く買いたいと思います。

 

特にキリーン社幹部にベネット弁護士が面会し、キリーン社がカザフスタンで採掘権を得た経緯について汚職疑惑を匂わすと、

偉そうなことをいうな ! 汚職があるからみんな仕事にありつけるのだ。道端で屑肉をあさるような社会でいいのかと烈火のごとく怒りだす、セリフとシーンは素晴らしい。

CLI(イラン自由化委員会)なるものが出てきますが、これなんかもイラン政府関係者が見ればどんな反応を起こすのでしょうか?

 

結局、何だかんだと言いながら、その昔、関東軍が行った柳条湖事件と同じになってしまうのですから。エニー総裁エンリコ・マッティ事故死に纏わる疑惑を描いたフランチェスコ・ロージ監督「黒い砂漠(1972)」にもあるように、本当にオイルビジネスは難しいと思います。

 

いずれにしても、米国は、第二次世界大戦は石油供給国だから勝利したことを知っています。だからこそ、戦後、さらに中近東に力入れました。が、外交的には上手くいかず一番の友好国イランをイスラム革命で失ってしまいました。湾岸戦争、イラン戦争で足場を固めていますが、思うようにはいっていません。

 

が、シェール革命で石油産油国になった米国は、今後、中近東からゆっくりと手を引くかもしれません。その時、日本はどうするのか ?

本当に厳しいテーマを扱った映画です。

 

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。       八点鍾

 

追記 日本ではあまり知られていませんが、第一次世界大戦後のオスマン帝国は大変厳しい状態に置かれました。特に隣国ギリシャによる侵略は希土戦争と呼ばれ、厳しい戦争になりました。最終的には、トルコが勝利しました。

 

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