「ダメージ」さざ波が立たないほど静かな家庭に起きた悲劇の映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ダメージ」(1992)です。

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監督がヌーヴェル・ヴァーグと言っていいのか大御所ルイ・マルなので、そりゃもうとても良く出来た愛欲映画になっています。こってりとした演出で愛欲シーンは濃厚、人にもよるでしょうが、私は、気取ったあのベルトリッチ監督「ラスト・タンゴ・イン・パリ」より通俗的ですが、こちらの作品の方が好きです。だって、こってり味で趣味が良いものですから。内容も厳しく、でも身から出た錆なので、と言うか遊び慣れていないと言うか…

映画は、英国保健相の事務次官スティーブン(ジェレミー・アイアンズ 好演)が息子マーティンのフィアンセ、アンナ(ジュリエット・ビノッシュ とても美しい)に会い、理性で押さえられない力が働き、彼女と不倫関係を続けるが、やがてそれはその家庭を引き裂くほどの悲劇を招く…

妻イングリッド(ミランダ・リチャードソン 物凄い好演)は、息子に紹介されたアンナを一目見て、危険な女だと気付くのですが、貴族階級出身なので息子に厳しく説得するようなことはしない。スティーブンは多分中産階級出身なので、妻や義父エドワード(イアン・バネン)を疎ましく眺めているだけ。義父の邸宅も自分ではなく息子マーティンの物になるので面白くないのでしょう。

その昔、劇場で見た時はそういった家族関係が良く分かりませんでしたが、家庭を持ち人生も終わりに近づくとそういった風景がはっきりしてきて、それがこの不倫劇の隠し味になっていることが理解できます。

そういう意味ではスティーブンは不運だがもっと上手く立ち回らないと、だから本当に残念な結末になって…

ルイ・マル監督はこのような通俗愛欲劇もとても上手く、うーん素晴らしいと唸ってしまいます。ラスト、スティーブンはかっては医師だったというセリフもありますから、せめて国境名なき医師団で活躍するぐらいにして欲しかったと思いますが。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。     八点鍾

 

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「アサルト13 要塞警察」ジョン・カーペンター「要塞警察」リブート作品ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「アサルト13 要塞警察」(2005)です。

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この作品は、あのジョン・カーペンター「要塞警察」(1976)のリブートです。「要塞委警察」は地上波で鑑賞した事がありますが、内容は面白いものの全体にチープだった記憶がありますが、このリブートは、イーサン・ホーク、ローレンス・フィッシュバーン、ガブリエル・バーンと強力な布陣、ハイバジェットなので中々面白い作品になっています。当ブログでも、ほぼ同様な内容のフランス映画「スズメバチ」を紹介しています。

映画は、2004年の大晦日。雪の降りしきるデトロイト市の片隅にある古びた13分署にジェイク(イーサン・ホーク)、数名の署員が集まり分署閉鎖の整理を続けていた。そこに暗黒街の大物ビショップ(ローレンス・フィッシュバーン)を乗せた護送車が到着する。雪が深いので、そこで一夜を明かそうということになった。

ところが、ビショップを救出しようとギャング仲間が大挙して襲撃してくるのだった。果たして、イーサンたちの運命は…

監督は、ジャン=フランソワ・リシェ、当ブログでは、「ジャック・メスリーヌ ノワール編 ルージュ編」をご紹介しています。この作品でもなかなかの腕前を見せてくれます。ローレンス・フィッシュバーンは貫禄たっぷり、イーサンはいつものトラウマを抱えた男を演じて、女優陣ではドレア・ド・マッテオがなかなか見せてくれます。

特にラストがなかなか味のある終わり方で、ノワールスリラー好きな方なら大いに満足される仕上がりになっています。うーん、美しいです。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。      八点鍾

 

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「プロフェッショナル」60年代ハリウッド製西部劇は全体に重く、その中で結構イケてるウェスタンですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「プロフェッショナル」(1966)です。

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監督は文芸派のリチャード・ブルックス、ほら、この監督のキャリアは「雨の朝巴里に死す」「カラマゾフの兄弟」「熱いトタン屋根の猫」「渇いた太陽」「ロードジム」「冷血」「ミスター・グッドバーを捜して」と言う作品群で、この作品だけ全くの別物と言っていいと思います。アクションたっぷりで粋が良い作品になっています。

加えて、一番脂がのったリー・マービンとバート・ランカスター共演の異色ウェスタンで、このコンビが良く悪役のジャック・パランスが可哀想なくらいで…

映画は、1916年頃のテキサスで大富豪グラントの妻マリア(C・カルディナーレ)が山賊ラザ(ジャック・パランス)に誘拐され、10万ドルの身代金を要求される。グラントは四人の男、銃火器と戦闘の専門家ファーダン(リー・マービン)、発破屋ドルワース(バート・ランカスター)、馬の専門家エーレンガード(ロバート・ライアン!)、追跡と弓の名手シャープ(ウディ・ストロード)がグラントの妻を救出の為、メキシコ革命真っ只中のメキシコへ向かうのだが…

ファーダンもドルワースもかってはラザと共に革命を戦った仲間、だからその配下の部下の手の内を読むのは朝飯前、1897式ウインチェスターショットガン、1892式ウインチェスターライフルで死体の山を築きながら、ラザに肉薄していく四人のプロ達、うーん美しいです。

後半にはファーダンがルイス式マシンガンでバタバタとなぎ倒すのですが、私が一番好きなのは、後半時間稼ぎの為にドルワースが岩山に隠れて、追手のラザ達を一人また一人と倒していくシーン、バート・ランカスターが一番好いシーンを独り占めして、ロバート・ライアンなんか余り見せ場が無くて…

音楽は「アラビアのロレンス」のモーリス・ジャール、撮影が「暴力脱獄」「冷血」「明日に向かって撃て」のコンラッド・ホール、本当に良く出来た正統派ウェスタンです。本当にこれぐらいの作品が量産されていたら、マカロニウェスタンなんか絶滅していたでしょう。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。     八点鍾

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「ウォンテッド」プロットは大したことないけど一部のディテールはなかなか見せてくれる映画…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ウォンティド」(2008)です。

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ロシア人の監督、ティムール・ベクマンベトフの作品です。このブログでは、以前日本ではビデオスルーされた「ベンハー」を紹介しています。

映画は、ウェスリー(ジェームズ・マカヴォイ)というドジなビジネスマンが、ドラッグストアで殺されそうになるところ、フォックス(アンジェリーナ・ジョリー)に救われる。この辺りのガンファイトシーンがなかなか見せてくれます。フォックスは象牙製グリップ、カスタムメイドスライドのサファリ アームズ マッチマスターという拳銃とコーナーショットという特殊な銃で応戦、敵はジェリコ 941 FBLコンパクトというあまり登場しない拳銃を使用して、こんな感じでディテールは結構面白いのですが。

フォックスは、暗殺組織"フラタニティ"に所属しており、それは"一人を殺すことで千人を救く"をモットーにする千年前から存在する謎の組織。ウェスリーの父は、その組織に所属していたが、クロスと言う暗殺者に殺されたことを知り、ウェスリーは組織に入り、過酷な訓練を受けクロスに戦いを挑むのだが…

お話というかプロットは大したことありませんが、ガンファイトシーンはこだわりが強く、なかなか見せてくれます。特に標的の前に障害物がある時に、弾丸の弾道カーブさせるスイングシューティングと言う撃ち方というのかな? が興味深い。現実には無理だと思いますが。

でも、この映画はそれだけです。もう少しホンが良く出来ているともっともっと面白く楽しい映画なるのに残念だと思います。フラタニティのボスにモーガン・フリーマンが扮しており、なかなかの貫禄。うーん、美しいです。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。      八点鍾

 

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「ストーカー」予言の映画と言っていい作品ですが…

 

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ストーカー」(1979)です。

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そうです、巨匠アンドレイ・タルコフスキー監督のSF映画です。彼は、寡作の映像作家でその独特のロングテイクで、素晴らしい映像美を特徴とします。口が裂けても、ただ雨漏りする家を映しているだけじゃないと軽口を叩いては駄目です。

この作品は「惑星ソラリス」と同様に原作がありSF映画です。でも、あまりSF映画らしくなく、別の隠し味がありそれは後述しています。

映画は、朝早く、ソ連のある町の酒場に「教授」と「作家」の2人の男が、案内人(ストーカー)待っているところから始まります。モノクローム映像で中々好いんです。

二人の男は、厳重な警備のゾーンと呼ばれる場所に侵入し、願い事が叶う"部屋"に入る為にストーカーを頼んだのだった。厳重な警備を掻い潜ってゾーンに侵入した男達、ゾーン内のカラーになり、又時々モノクロームへと。

やがて、男達は"部屋"に辿り着くと、教授が思いがけない行動をするのだった…

この映画、最初に鑑賞した時とても耐えられない作品でした。禅問答のような会話、ゾーンと言っても壊れた戦車とか倒れた電柱のある草叢を淡々と歩くだけで、SFらしくなくロングテイクの単調な作品というのが私の評価でした。「惑星ソラリス」の方が何倍も素晴らしいと最近まで考えていました。

数年前、2013年頃だったと思います。TVで福島原発事故のドキュメンタリーを放映していた時、荒れた避難地区を淡々と映し出していました。あれ、こういう映像どこかと見たことあるなと考えているとこの映画「ストーカー」だったことを思い出した。

そうか、あの映画はSFと言うスタイルを利用して、ソ連で多く発生していた原発事故、例えばキシュテム事故等を暗に批判していたのかと。さすが、私のような若輩者には到底考え及ばないことをやっていたのだと反省する次第。

以後、この映画を見ると、あのゾーンシーンで時々涙がこぼれてきて…

いや、本当に素晴らしい映画だ、予言の映画だったのだと。雨漏りする家を映している映画だと軽口を叩いていた自分が恥ずかしくて。鑑賞するには少しばかり難儀をしますが、本当に隠し味が効いた映画です。ご覧になれば分かります。ぜひご覧になって下さい。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。    八点鍾

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         ハリウッド製の似たような作品

「MINAMATA ミナマタ」戦争後遺症に悩む写真家が水俣で自分を取り戻す映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「MINAMATA ミナマタ」(2020)です。

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映画は、沖縄戦での後遺症に悩むユージン・スミスが、水俣で水俣病患者に出会い、自分を取り戻していくという映画です。

映画としてはまあ良く出来ていますが、事実とかなりかけ離れているので、この作品を見て水俣病を語らない方が良いと思います。あくまでも、ユージン・スミスの映画として鑑賞される方が良いと思います。

映画では、一株株主運動と水俣病集団訴訟がごっちゃになって描かれており、何が何だか分かりません。このシナリオはまずいですよね。但し、こういう重いテーマでも商業映画にする根性は見習うべきでしょう。

私なんか、この映画でチッソ社長として國村隼が登場する度に、映画「戦争と人間」に登場した伍代公司(物流会社)の芦田伸介演じる伍代喬介を思い出し、芦田伸介と岸田今日子演じる中国女性とお風呂に入りながらシナ情勢と奉勅命令をどうやって出させるかというシーンがちらつき…

チッソは、戦前鴨緑江に大きな工場を所有し陸軍に収める火薬を製造していました。陸軍と結びつきが強く、前述した伍代はチッソを参考にしているというのは有名な話です。満州国は、旧財閥三井、三菱、住友等は積極的ではなく、多分懐疑的に眺めていました。このチッソ、鮎川財閥(日産グループ)、森コンツェルン(昭和電工)等新興財閥が競って進出していました。先の大戦は、今では言う人は余りいませんがこういう人達に振り回された側面がありました。

先の大戦に負けてガタガタになり、戦前のような会社に戻ろうと気負った時期もあったのでしょう。チッソ側に立てば、なんやかんや言う前に従業員を食わしていかないと、日本を豊かにしないと何にもならないだろうと…

本来なら政治が介入して色々な解決案、オプションを考えるのですが、当時まだ日本の政治が貧弱だったこともあり、でも、これらの件は海外なんかで引き起こされる公害等の一つの解決策にはなるので…

何か映画のことより別の話になってしまい、でもジョニー・デップはよかった、感動します。アンドリュー・レヴィダス監督の腕前という以前にホンをしっかりして欲しいと思います。興味ある人は見て下さい。

満州国のこと、戦前外地で生活していた人達、じつは子供の頃そういう人達が周りに一杯いたんです、私を可愛がってくれ、もう鬼門に入ったあの年配の人達を思い出しながら見ると真に感無量な作品です。

                                  八点鍾 

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「燃えよ剣」私の思いとして『蝦夷共和国』を夢見る男として描いて欲しかったのですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「燃えよ剣」(2021)です。

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映画は、五稜郭の戦いで薩長軍へ最後の攻撃をかける前に過去を回想するシーンから始まります。バラガキと呼ばれた頃から浪士組に入り京都へ、池田屋事件、鳥羽伏見の戦いを経て、箱館戦争へ…

私の世代ですと栗塚旭主演TVドラマ「燃えよ剣」なんですね。それまで新選組と言えば、近藤勇と沖田総司だったのが、司馬遼太郎が土方歳三にスポットを当て、それがとても新鮮だったので、と言うより生まれつきの戦争屋のような感じで、局長近藤勇が流山で斬首されても、延々と薩長軍と戦い転戦するのです。それまでは土方がそんな骨のある男だったのとは、ほんの一部の人しか知らなかったのです。

だから、映画には出てきませんが宮古湾海戦なんてもう際立っていますね。終盤フランス軍事顧問団陸軍砲兵大尉ブリュネを登場させて、うーん美しいです。榎本武揚を登場させて、もっと「蝦夷共和国」の夢を描いて欲しかった。そうすれば、もっと面白い作品になっと思いますが。でも、作品としてはとても良く出来た作品です。

実例を挙げると、夜のシーンですが蠟燭の灯りだけで撮影しているように思えます。そう、「バリー・リンドン」「女王陛下のお気に入り」とはちょっと違いますが、何かすきだな、夜のシーンが。だから池田屋事件のシーンは異様なの迫力で。監督は原田眞人、「日本のいちばん長い日」より好きだな。

昔は、このタイプのような新選組作品はありませんでした。「新選組」(1969)監督沢島忠、主演三船敏郎でも流山で終わっていましたが、その後土方歳三が一番輝いていた時期を割愛していたのでした。

時代劇、蝦夷共和国そして土方歳三の生き方が好きな人は是非ご覧になって下さい。

                                   八点鍾

追記 榎本武揚 オランダ留学を経た有能な幕臣、箱館戦争で投降、投獄されるが福沢諭吉らの助命により明治政府に登用される。のちに浦賀船渠設立を後援。

池田屋に近藤と共に襲撃した剣客永倉新八は、生き延びて大正4年まで在命。だから、詳細な記録「新選組顛末記」が残っています。

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