レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「プライベート・ライアン」作風が変わったスピルバーグ映画、血糊とあざとい演出が…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「プライベート・ライアン」(1998)です。

   

1944年6月6日連合軍はノルマンディーに第二戦線、オーバーロード作戦を敢行した。独国防軍の攻撃は凄まじく米軍兵士はバタバタと倒れるが、ミラー大尉(トム・ハンクス)のC中隊の活躍により、崖上のトーチカを破壊して敵戦線を突破した。オマハビーチは死体で埋め尽くされ凄ましい光景だった。そんな中、C中隊に与えられた次なる任務は、従軍中の4兄弟中3人が戦死し、一人残った101空挺師団兵ライアン(マット・デイモン)の救出だった。それは敵陣深く進攻する必要があった…

巨匠というよりヒットメーカーの大監督と言っても良いスピルバーグ監督、この作品で演出スタイルを変えた感じがします。この映画、冒頭のオマハビーチのシーンでは、血糊一杯でまるで、故サム・ペキンパー監督の「戦争のはらわた」も真っ青のようなスタイルで、でもなかなか見せてくれます。当時、ほぼ新人と言っても良いトム・ワイズモア、エドワード・バーンズ、ヴァリー・ペッパー、ヴィン・ディーゼル等が新鮮でとても良い。

でも、物語が進むに辺り、破損したレーダー陣地にある敵銃座を攻撃する辺りから何となくあざとい演出が鼻に突き始めて…普通は、任務優先で不必要な戦闘はしないと思いますが、このミラー大尉はやるんですね。その辺り判っているのですが、やるのがあざとく私は嫌ですね。

例えば、同じような映画でサミュエル・フラー監督「最前線物語(ビック・レッド・ワン)」の方が、そういうことはやっていません。フラー監督は実際北アフリカから欧州戦線に転戦しているので、戦争というものを十分理解されていると思います。同様にドン・シーゲル監督「突撃隊」もそんなことはやっていません。

でも、それを考えなければ、終盤ラメルの街攻防戦は、臨場感たっぷりで素晴らしいでと思います。特に独機甲部隊、タイガーⅠ型戦車、Sd kfz マルダーⅢ、軍用装甲車、エリコンFF20ミリ機関砲座、パンツァーシュレク等、物によっては一部改造して登場させて、気分を盛り上げてくれます。中でも一番嬉しかったのは、ケッテンクラートが登場しており、それも本物の様でこれは始めて見ました。うーん、美しいです。

何やかんや書き連ねましたが、とても良く出来た映画であることに違いありません。

このブログ作成にDB版を鑑賞しています。        八点鐘

 

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