レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「U-571」暗号機エニグマ強奪作戦という映画…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「U-571」(2000)です。

この作品中々面白いというより設定が良いですね、英国冒険小説風で。

WWⅡ大西洋上、独海軍U-571号が英海軍の攻撃で航行不能になった。独海軍は洋上修理を行う為、補給艦の派遣を決定する。米海軍はその無線を傍受し独暗号機エニグマを強奪する為、予定通りガトー級潜水艦と思しきS-33をUボートⅦC補給艦に改造し、洋上で急襲作戦を実行する。その為、海兵隊も潜水艦に乗り込んで。この辺りもう少し盛り上げてくれるともっと良いのですが。

深夜、風雨の中敵U-571に乗り込んで敵艦を制圧するが、本当の補給艦Uボートに襲われて、S-33は撃沈される。敵艦で敵乗組員を制圧していた米海軍タイラー大尉(マシュー・マコノヒー)は、直ちに米乗組員と共に雷撃戦に移るが、何せUボート、表記がすべてドイツ語で右往左往。何とか潜航するが、あのG7魚雷が迫って来て、ぎりぎり船体を擦りながらかわすシーンは音響効果も素晴らしく、うーん美しいです。この映画は第73回アカデミー賞で音響編集賞を受賞しています。

漸く、敵潜を魚雷攻撃で沈め、エニグマを手に入れる。U-571の修理を終わり、母港に帰還しようとするが、今度はルフトヴァッフェの哨戒機に捕まり、やがてドイツ海軍駆逐艦に捕捉される。彼らは逃げることが出来るのだろうか…

あの「特攻大作戦」の洋上バージョンというより、あの「トブルク戦線」の洋上バージョンです。敵潜の中での銃撃戦はサスペンスたっぷりで。こういう作品見ていると、帝國海軍は何かズレているようで、だってこういう情報戦って殆どなかったし、海軍乙事件なんて恥ずかしい限りだし…

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。       八点鍾

 

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     エニグマを巡ってはこういう作品もあります。

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「熊座の淡き星影」ヴィスコンティ監督にしては珍しくミステリタッチの愛憎劇ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「熊座の淡き星影」(1965)です。

巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督作品ですと重厚長大の作品が多いのですが、この作品は上映時間が100分程度、加えてミステリータッチなので意外と鑑賞しやすく、この手の映画が苦手の人、私もその一人ですが、にもすんなりと鑑賞できるものと思います。

昨年鑑賞したカミュ原作「異邦人」は私の感性とは合いませんでしたが、この作品はとても好いですね。冒頭からあのBMW507が登場し、うーん美しいし、何と趣味の良いことでしょう。さすがです。私が知る限り、この作品と「ファントマ危機脱出」だけです、507が登場する映画は。

サンドラ(クラウディア・カルディナーレ)は、夫アンドリューとジュネーブからNYに向かう前に北イタリアの故郷ヴォルテッラの実家ワルト・ルッツァンティ邸に立ち寄る。その屋敷の庭を市に寄贈して、そこに強制収容所で亡くなった科学者の父を記念して作られた肖像の除幕式に参列する為だった。が、そこにいないはずだった弟ジャン二が現れ、あの思い出したくない過去が彼女の脳裏に鮮烈に蘇るのだった…

何時ものようにとても演劇臭い演出で、ヴィスコンティ命と言う人には堪らないぐらい美しい場面が五月雨の様に登場し、私の様に勘弁してくださいと思っている人にも、やはりこの映画素晴らしいよね、と思えて来るぐらい、段々と脳髄が侵されてるように思います。いや、とても良いです。貴族趣味が鼻に付きますが、でも、こういう邸宅に佇んて生活してみたいとか、一度、ダウンツィオを読んで見ようかと…

正直な処、この手の映画は教養映画として鑑賞されるのが一番だと思います。とっつきにくいでしょうが鑑賞すれば、何がしか得る物はあると思いますが。

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追記 このDVDは紀伊国屋製ですが、若干キズ等があり一部画質が良くありません。私にとって、もし4Kリマスター版BDがあれば購入し、私のライブラリーに入れたいと思わせる程良い映画ですね。

 

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「クーデター」意外に良く出来たサスペンススリラー映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「クーデター」(2015)です。

意外な拾い物と言ったら怒られますが、ほとんど期待せずに鑑賞したらとても良く出来ておっと驚くような映画があります。この作品などはその最たるものでしょう。

東南アジアの某国、ドワイヤー家族ジャック(オーウェン・ウィルソン)、妻アニー(レイク・ベル)と二人の娘は、赴任の為空港に降り立つ。ピックアップの車が来てこなかったので、機内で知り合ったハモンド(ピアース・ブロスナン)が呼んだタクシーに相乗りでホテルへ向かった。

翌朝ジャックがホテルの周りを散歩していると、デモ隊と治安部隊の衝突に巻き込まれる。治安部隊は容赦なく発砲して大混乱となる。ジャックは慌ててホテルに戻るとデモ隊は暴徒化して蛮刀、銃を持ち外国人を襲い始めていた。一家はホテル屋上に逃れてヘリコプターの助けを待つのだが、やって来たヘリコプターには暴徒の一味が乗っており避難外国人をAK37で射殺し始めるのだった。一家は隣国ベトナムに逃げることが出来るのだろうか…

この手の映画、例えば「アルゴ」「キリングフィールド」とか少しタイプが違いますが「引き裂かれたカーテン」等があります。それらの作品の水準には達していませんし、全体的に安普請なんですが、押さえるところは押さえているのでサスペンスたっぷりで良く出来ています。もう少しホンの出来が良いとグーンと良くなると思いますが。

特に、正体不明なピアース・ブロスナン、多分汚れ仕事専門の諜報員でしょう、の存在が不気味でいい味が出ています。うーん、美しいです。監督は聞いたことがありませんがジョン・エリック・ドゥードル、今後ブレークするかもしれません。

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追記 実はこの作品、ホーチミンで上映していました。タイミング悪く鑑賞は出来ませんでしたが、帰国後のある時、お店の片隅にひっそりと佇んでいましたので購入しました。暴徒大乱闘のシーン等映画のロケは、タイで行ったとの事。

例えば、ウクライナ侵攻で日本のマスコミは取り上げませんが、スリランカ経済がデフォルトして、現在大変な状況にあることを皆さんはあまり知らないのでは。何も知らずにのこのこ出かけると大変なことになるのでご注意ください。

ホント、日本のマスコミは出来の悪いサッカーゲームの様で、つまりサッカーボールが転がる先を追い駆ける様な報道で困ったものです。こういうと視聴率命で報道しているので、視聴者のせいだよと切り返すかもしれませんが…

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「エンド・オブ・ホワイトハウス」あの"ダイハード"のホワイトハウス版ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「エンド・オブ・ホワイトハウス」(2013)です。

ホワイトハウスを舞台にしたダイハードタイプのコテコテアクション映画です。主演がジェラルド・バトラーで、彼がもうジョン・ウェイン、クリント・イーストウッド、アーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウィルスを越えてアメリカの敵と戦います。結構、身体が動くのですね。うーん、美しいと思います。

映画は、朝鮮系テロリスト集団にホワイトハウスが襲われます。あれよあれよという間にホワイトハウスは乗っ取られ、大統領(アーロン・エッカート)はテロリストの人質に。立ち上がったのは元シークレットサービスのマイク(ジェラルド・バトラー)、もう強いのなんのシグ・ザウアーP229を操りテロリスト達を地獄送りに、そしてホワイトハウスに忍び込む。大統領の息子を救出し、テロリストが狙っているケルベロスコードを守るべく戦うのだが、対策本部は特殊部隊の突入を決めるのだが…

オリジナリティはありませんが、この手の映画をよく見ている人でも結構楽しめるでしょう。改造されたC130輸送機からのガトリング砲攻撃、撃墜されるF22ステルス戦闘機、ホワイトハウス屋上に仕掛けられた対空機器ハイドラ6と特殊部隊を乗せたブラックホークヘリコプターの戦い等々見せ場はたっぷりと言うか監督が「ザ・シューター/極大射程」のアントワーン・フークアなので手堅く纏めており、安心して見ていられます。

最後に、冒頭アシュレイ・ジャッドが大統領夫人としてチラリと登場。こんな役でなくバトラーと共に大暴れしてテロリストを地獄に送って欲しかった…

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「悪魔の発明」カレル・ゼマン監督のノスタルジック溢れるジュール・ベルヌ原作の映画化…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「悪魔の発明」(1958)です。

映画は、ロック教授は新型爆弾を考案した。彼はサナトリウムで研究をしていたが、教授の研究を知った海賊カラージュとアルティガス伯爵一味に拉致されて大西洋の孤島に幽閉されて研究を続けることになる。たまたまロック教授を訪ねていた技師アールと共に。アールは教授の研究を知ると、外部と連絡を取ろうとするのだが…

珍しいチェコ映画です。監督がカレル・ゼマン、彼は監督のみならず脚本、美術迄担当しており、独特の画調、スタイルであのSFの父ジュール・ベルヌの世界を映像化しており、この映画はもはや古典と言っていいでしょう。登場する潜水艦、飛行船、潜水服、発動機その他研究設備等ユーモラスで独特のデザインでたまらない人にはたまらない作品になっています。

但し、それらはノスタルジック過ぎてノレない人もいると思います。私は結構好きですが。ほぼ全編マット合成で製作されたこの映画、時々ビックリする様な凝った絵造りもあり、侮れない作品になっています。お話が「海底二万里」に少しばかり似たような設定が鼻に付きますが、これはベルヌのせいですから仕方ありません。

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「潜水艦クルスクの生存者たち」今回は色々な事を考えさせてくれる映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「潜水艦クルスクの生存者たち」(2018)です。

以前ブログに書きましたが、ホーチミンで鑑賞しておりブログにも紹介済みです。

この作品は、2000年8月12日に最新型原潜クルスクが軍事演習参加中、搭載していたHTP魚雷が爆発してムルマンスク市から約140キロ離れたバレンツ海水深108mの海底に着底し、欧米海軍の支援拒み乗組員全員112名死亡した事故を描いた作品です。監督はトーマス・ヴィンターベア。

ホーチミンで鑑賞した時は真摯に作られた良い映画ですが、面白みに欠ける作品だという印象でしたが、今回はロシアがウクライナに侵略、交戦している時期に鑑賞したので、色々な思いが頭によぎりました。

1991年にソビエト連邦崩壊、又1998年にロシアはデフォルトしているので、経済状態が良くなく、海軍でも給料遅配、訓練不足が起こっておりそういう事が沈没の遠因になっていた。ロシア海軍深海救難艇のメンテナンスが悪く使用できなかった事が被害を大きくした。プーチン大統領は保養地ソチで休養中だったとか。

この新型潜水艦は原子力で、それ故戦略原潜に近い造りだった。原潜は二種類あり、一つは攻撃型原潜、もう一つが戦略原潜、海に秘匿して非常時にICBMを発射する原潜。このクルスクはICBMではなく、大型巡航ミサイルを搭載することが出来た。それ故、欧米海軍の支援を拒んだと考えられます。

昨今、ウクライナでの悲惨な映像が日本でも多く放映され、米国は核兵器を保有している敵国とは交戦しないということがはっきりとしたので、有事に日米同盟が機能しないのではと、巷ではニュークリアシェアリング、戦略原潜保有の議論が多くなってきたことに驚きます。私知りませんでしたが、ニュークリアシェアリングはNPT条約違反にならないのですね。

日本の周りには核保有非民主国があり、あの韓国でさえ核兵器保有、戦略原潜を所有したい野望があるのに驚きます。どれが日本国核保有のトリガーになるか知りませんが、やがては落ち着くべきところに落ち着くだろうと思います。多分に、英国海軍を参考に戦力構成をとるものと思いますが。

そんなことを考えながらこの映画を鑑賞していました。        八点鍾

 

 追記 当時、私はシンガポールに駐在しておりシンガポールでも大きく報道されました。映画で描かれていますが、乗組員家族への説明会で騒ぎ出した女性に後ろから精神安定剤を注射したことも非人間的だと大きく話題になりました。

最近では、2018年アルゼンチン海軍で潜水艦沈没、去年インドネシア海軍でも潜水艦沈没事故が起きています。

最後に、重い映画なのですが巡航ミサイル原潜クルスクがムルマンスク港を出港し、乗組員の子供達が見送るシーンはとても綺麗で美しいと思います。目頭が熱くなる良いシーンです。

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「ステルス」ホンがもう少し良いと志の高い作品になりますが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ステルス」(2005)です。

映画は、対テロ戦の為に米海軍は最新鋭ステルス戦闘機タロンを投入します。更に無人攻撃機EDIも投入するが、作戦飛行中落雷に会い、AIシステムが損傷する。EDIは必要のないデータを検索してロシア領内の核融合施設を攻撃しようし、ベン大尉(ジョシュ・ルーカス)はタロン機で撃墜しようとするのだが…

「追撃機」「ファイヤーフォックス」「イントルーダー怒りの翼」「トップガン」と同じく航空機映画です。最新鋭のステルス戦闘機「F/A-37タロン」が登場します。但し架空の戦闘機ですが。この作品でとても興味深いのは無人戦闘機それもAI制御の「E.D.I」が登場することです。そういう意味で中々尖がった作品にも成れたのにB級映画モドキに落ち着いたのは、やはりホンのせいですね。もう少し尖がった内容にしてセンスのある監督に選択したら意外に良い作品になったと思います。監督はロブ・コーエン、「ワイルド・スピード」「トリプルX」はとても良く出来た映画ですが、この作品は彼の持ち味が出にくい作品ですね。そうですね、ガイ・リッチーとかダニー・ボイル辺りが監督していたらもっと面白いものになったのではと思いますが。

そういう意味で、残念な作品ですね。ドッグファイトシーンは中々迫力ありますし、後半飛行船型のタンクプレーンが登場するところなどとても好きなんですが。という今後の航空戦がどのようなスタイルになるのか、さり気なく提示するだけでも作品の価値がグーン上がります。

例えば、現在日本と英国で現在次期戦闘機プロジェクト「テンペスト」を進行させていますが、マスコミは殆ど報道していません。このプロジェクトでもテンペストとチームを組む無人戦闘機モスキートを開発しているのですから。こんな話を15年前に映像化しているのだから、ちょっと視点を変えて映像化していたらかなり志の高い映画になったと思います。そういう意味で残念な作品です。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。           八点鍾

 

追記 テンペストはクリップドデルタ翼とV尾翼を採用した機体になっています。

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こちらが「テンペストプロジェクト」

無人機モスキート