レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

番外編 ヌーヴェルヴァーグの旗手ジャン=リュック・ゴダールさん追悼

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。ジャン=リュック・ゴダールさんが亡くなりました。謹んで追悼したいと思います。

いや、長生きされた方ですね。私はどちらかと言えば苦手な監督で、彼の作品あまり見ておりません。「勝手にしやがれ」「小さな兵隊」「アルファヴィル」「ウィークエンド」「中国女」ぐらいでしょうか…ほかにも数本見ていると思いますが。

彼の作品は、初期の作品はまだしも60年代後半からは映画と言うより思想映像の味わいが強くてね、あまり面白くありません。加えて、ソ連崩壊からは精神的な拠り所を失ったようで…

でも、「勝手にしやがれ」「小さな兵隊」「アルファヴィル」は好きです。一番好きなのは「アルファヴィル」ですが、SFスタイルのハードボイルドで。このスタイルでずっとー映画製作をしてくれていたら、嬉しかったのですが。ルイ・マル、フランソワ・トリフォーのようなスタイリッシュな映画とは言いませんがね。

 

心より哀悼の意を表したいと思います。              八点鍾

 

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一番カッコいい頃のゴダール監督

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ご存知かもしれませんが「勝手にしやがれ」は「ブレスレス」とい題名でハリウッドでリメイクされています。リチャード・ギアが主演しています。映画はイマイチかな…

 

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 こちらが本家の予告編ですが…






 

「ダイアナ」三人の結婚生活だった…という悲しく孤独な伝記映画…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ダイアナ」(2013)です。

TVでエリザベス女王が今月8日に逝去され、息子チャールズ皇太子が英国王になり、その後ろに控えたカミラ王妃を見た時、ああ、ダイアナ妃がいないのは残念だなと思い、この作品を選んでみました。

映画は、ダイアナ(ナオミ・ワッツ)が夫チャールズ皇太子がカミラ・ボウルズとの不倫に気付いて別居するところから始まり、1997年8月31日の交通事故で亡くなるまでを描いています。孤独な孤独なダイアナ、やがて離婚は成立して息子達と会うのは40日に一度、押し寄せるパパラッチ、慈善活動に精を出すダイアナ、やがてパキスタン人心臓外科医ハスナット・カートと知り合い深い関係に、加えてハロッズのオーナー、ドディ・アルファイドとも交友関係を続け…

映画は、丁寧且つ真摯に作られた作品です。「スティーブ・ジョブズ」の様に才気溢れる映画にはなっていません。まあ、この手の映画はこのような作り方が最適だと思います。あまり、尖がって作ってしまうとケン・ラッセル監督の伝記映画になってしまうので。ナオミ・ワッツは良く演じていると思いますが、でもやはり違和感が…

あくまでもこの作品を見ての感想ですが、やはりダイアナは世間知らずで、自分の立ち位置が亡くなる直前まで分からなかったのだと。且つ本当の友人がいなかった、本当に孤独だったことが最大の悲劇だと思います。私設秘書パトリック・ジェフソンはやり手な方だと思いますが親身さが足りないし、ソニアという女性執事が色々とアドバイスしますが、やはり格式が高い方なので今一つ踏み込んだアドバイスが出来ない様に見えました。その辺りをもっと丁寧に描くと彼女のその深い孤独が表現できて、良かったかもしれません。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。          八点鍾

 

 

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追記 J・L・ゴダール監督が亡くなりました。91歳との事。自殺幇助で死を選んだと聞いています。彼については別にアップしたいと思います。





 

 

 

「スティーブ・ジョブズ」伝記映画と思いきやこの映画の構成は…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「スティーブ・ジョブス」(2015)です。

殺伐として作品が続いたので、どちらかと言えば明るい雰囲気の作品としてこの映画を選びました。ジャンルで言えば伝記映画ですが、この手の実業家の伝記映画、実は苦手なんです。

その昔「遥かなる走路」(1980)という豊田佐吉さんの伝記映画があります。いや、難儀な映画でした。あくまでも私の印象ですが、この映画、観客の方を向いて製作しているのではなくトヨタグループの方に向いて映画作りをしているようでした。だからね、何か面白くなく…

ところがです、この作品、時間軸をバラバラにして84年Mackintosh、88年NeXTcube、99年iMacの発表会前に起こった問題を巧みに取り込みながら、ジョブズの人柄を描き出しているのです。この構成には驚きました。凄いとしか言いようがありません。凡百の伝記映画とは違います。

だから、ジョブスについて詳しくないと何やっているのだろうか分からないところも時々見られますが、途中からとても興味深く拝見しました。

アップルを解雇され、又再びアップルに戻るジョブズ。彼は私生児だったという事実、愛人クリスアンとその娘リサとの関係、マーケット担当ジョアンナとの友情等々。

こういう人などで取っつき難い奇人のようなところもありますが、目の付け所が優れたジョブス。演じたマイケル・ファスベンダーが上手い、更にジョアンナを演じたケイト・ウィスレットが更に良い。

監督はダニー・ボイル、とても上手く纏めています。チンピラ、SF、サスペンス、ラブロマンス何でも屋のような監督ですが、前作「トランス」も良かったですが、この映画も良く出来ています。ただ、この構成だと観客が食い付いてこないような気がしますが。脚本はアーロン・ソーキン、「ソーシャル・ネットワーク」とかこのブログでも取り上げた「モリーズ・ゲーム」も彼が脚本、監督を担当しています。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。            八点鍾

 

 

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「人斬り」五社英雄監督第二作、こちらは抜群に面白い時代劇と三島由紀夫について…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「人斬り」(1969)です。

予告した通り、今回は五社英雄監督第二作「人斬り」をご紹介します。「御用金」は今一つ盛り上がりに欠けた作品でしたが、こちらの作品は大変面白く、抜群に良かったと思います。その理由は司馬遼太郎の原作、橋本忍の脚本なのでしょうか。

映画は、幕末を舞台に土佐の郷士(下級武士)、岡田以蔵の半生を描いた作品で、土佐勤皇党党首武市半平太の懐刀として刺客を命じられる。冒頭の吉田東洋暗殺から始まり、まず岡田以蔵を演ずる勝新太郎が熱い。そして、武市を演じる仲代達矢の策士っぽさが板についている。前作「御用金」では正義感溢れる浪人でしたが、彼はこういう冷たい役柄が上手いと私は思います。山城屋の女郎おみの(倍賞美津子)と以蔵とのドロドロの愛憎関係も美しい。

そして、薩摩藩の刺客田中新兵衛を演じる三島由紀夫が素晴らしい。戦後日本文学界を代表する作家三島が役者として登場して、太刀さばきもよろしく結構見せてくれます。うーん、美しいです。

こんな感じで、抜群に面白い時代劇になっています。特に石部宿の大天誅は、仲間外れにされた以蔵がそれを聞くや否や褌を締めながら駆け出し、石部宿まで約十里疾走するシーン、映画的躍動感に溢れています。いや、とても熱いシーンです。又、この時の佐藤勝の音楽が素晴らしくて。

但し、作品は描写が少し陰湿なのがいただけないですが、この辺りは五社監督の個性なのでしょう。最後迄観客を引っ張ってくれます。岡田以蔵、剣の腕は立つが世情に疎い、こういうお人なので最後は邪魔になって…

昨年鑑賞した「燃えよ剣」は幕府側から眺めた明治維新映画でしたが、この作品は土佐藩から眺めた明治維新映画になっています。坂本龍馬役で石原裕次郎が共演しています。日本の行く末を見据えた男として描かれています。彼も美しい。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。      八点鍾

 

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追記 三島由紀夫は自作短編映画「憂国」「からっ風野郎」「黒蜥蜴」とこの作品に共演しています。当時から国内外に於いて有名、私設軍隊組織「楯の会」を設立してマッチョな写真を撮影したりして、普通の文人とは一味違う文人でした。大蔵省に勤めていた頃は気弱な青年でしたが。その大変身の理由は、私には分かりません。

             割腹自殺前の三島由紀夫

 

「御用金」TVシリーズ「三匹の侍」五社英雄監督劇場映画第一作ですが…

レタントンローヤル館にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「御用金」(1969)です。

ずっとこの作品がBD/DVD化されるのを待っていました。最近、DVD化されたので鑑賞しました。

今回はその印象をお話したいと思います。60年代中頃、フジテレビに於いて「三匹の侍」という時代劇が話題になり、フジテレビが映画界に進出にあたりこの監督五社英雄が選ばれたという経緯があります。

五社監督は、どちらかと言うとあまり間口の広い監督ではなく時代劇、ヤクザ映画が多く私の好みではありませんが、この「御用金」と三島由紀夫が共演している「人斬り」はずっと見てみたいと思っていたので、次に「人斬り」もアップします。

この作品は、天保2年(1831)越前鯖井藩で起こった漁民約30名神隠し事件の謎と佐渡島からの御用金強奪の二つの出来事を絡めた話ですがあまりブレンドが良くありません。主人公脇坂孫兵衛(仲代達矢)の正義心も薄っぺらでのれないし、というより何か彼の存在そのものがこの映画では重く、主人公を中村錦之助演じる隠密藤巻左門にした方が痛快な映画になりそうな感じです。ですが、のんびり見る分には最適な作品といって良いでしょう。

劇場映画第一作と言うこともあり五社監督は緊張したのでしょう。全体に取り留めのない感じで、一番の見せ場御用船に積載されている御用金強奪シーンの前後が盛り上がらないのが致命的です。ラストの仲代と悪玉丹波哲郎の真剣勝負ももう一つです。

この映画の見所は、冬を舞台にした時代劇、下北半島でロケをしたという美しい風景、撮影は岡崎宏三、"神隠しのおりは"を演じた浅丘ルリ子、隠密藤巻左門を演じた中村錦之助、音楽佐藤勝あたりでしょうか。岡本喜八監督辺りが担当していたら、もっと面白くなったと思いますが。

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「インフィニット 無限の記憶」アントワン・フークア監督版「ハイランダー 悪魔の戦士」ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「インフィニット 無限の記憶」(2021)です。

映画は、前世の記憶を持ち続ける特殊な人々"インフィニット"は、二つの勢力に分かれていた。人類の為にその能力を使用するビリーバーとそうでは無いニヒリストと。エヴァン(マーク・ウォールバーグ)は悪夢に悩まされていた。職にも就かずにぶらぶらしていたが、日本刀を鍛え上げる能力を持ちそれで鎮痛薬を得ていたが、ある時警察の違法薬物取引容疑で逮捕される。取調室でニヒリストのバサーストの攻撃を受けるが、ビリーバーのノーラに助けられる。二人はビリーバーの隠れ家に逃げ込み、エヴァンは自分がビリーバーで、エッグと呼ばれる装置で人類を滅亡させるニヒリスト達と戦う運命にあることを悟るのだった…

あの「ザ・シューター/極大射程」のアクション派フークア監督によるSFファンタジー映画です。だから、結構面白い作品になっています。

でもね、これって私の大好きなB級SFアクション「ハイランダー 悪魔の戦士」と設定が良く似ているのでとても嬉しくなってしまいます。勿論、こちらの方がビッグバジェットで、アクションもテンコ盛りで。特にC-17輸送機の内外で日本刀で大立ち回りするのには驚きますが。まあ、お馬鹿映画と言ってしまえばそれまでですが。

後、この作品で驚くのは、特殊バギーCAN-AM マーベリックX3マックスターボがチラリと登場するのが良いですね。他にフェラーリ・テスタロッサ、アストンマーテインDBSですね。車好きの方は楽しいかもしれません。

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追記 私はこの作品より「ハイランダー 悪魔の戦士」の方が好ましいと思います。だってB級ティストたっぷりですから。

 

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「デュプリシティ~スパイはスパイに噓をつく」産業スパイが主人公というサスペンススリラーですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「デュプリシティ」(2009)です。

楽しいサスペンススリラーです。理由は主人公の職業が産業スパイなのですから。産業スパイの映画って余りありません。私が知っている作品は「おしゃれスパイ危機連発」(1967)ぐらいですか? ドリス・デイとリチャード・ハリスが共演しています。作品の評価は今一つですが、この映画は少し複雑な構成をしていますが、あの「フィクサー」(2007)でなかなかの腕前を見せてくれたトニー・ギルロイなので、出来は遥かに良く楽しめます。

映画は、医薬品メーカー最大手B&R社と振興企業エクイロム社はライバルでとても仲が悪い。B&Rは新商品を開発中で、エクイロム社CEOディックは、何とか敵の手の内を知りたいので元MI6の諜報員レイ(クライブ・オーウェン)を雇い入れる。そして、相手側の情報提供者に会って企業情報を手に入れようとする。その情報提供者に会ってレイは驚く。旧知の元CIA諜報員クレア(ジュリア・ロバーツ)だった。二人は示し合わせて雇い主を出し抜こうと画策を始めるのだった…

まあ、敵会社の新作情報を手に入れるのに"モグラ"を侵入させるというスパイ映画さながらの展開が面白くて、加えてジュリア・ロバーツがなかなよくて。でも、この辺り迄ぐらいですね、美しいヒロインでいられたのは。

メリル・ストリーブの様に演技派でやれるまでやり抜くと言う女優も結構ですが、適当なところでスクリーンから身を引くと言うのも一つの生き方ですから。

エクイクロム社CEOを演じたポール・ジアマッティも楽しそうに演じているのも好感が持てます。この手の映画は珍しく、なかなか良く出来ているので取り上げてみました。

このブログ作成にBD版を鑑賞しています。        八点鍾

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