レタントンローヤル館

主にサスペンス映画のお話

「チャイナ・シンドローム」ベンタナ原子力発電所中央制御室で何が起きたのか…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「チャイナ・シンドローム」(1979)です。

 

 

キンバリー(ジェーン・フォンダ)は、硬派なレポーターを目指してやっとチャンスが巡ってきた。ベンタナ原発を取材する許可を得たところだった。キンバリーはクルーと共に取材すると、その中央制御室では何やらトラブルが起きているようだった。カメラマンのリチャード(マイケル・ダグラス)は、秘かにカメラを回してその様子を録画した。

キンバリー達はそれを原子力関係の専門家に見せると、彼らはこれは炉心溶融の一歩手前ではないかと言う。キンバリーは中央制御室の責任者ゴデル(ジャック・レモン)を捕まえて、真相を突き止めようとするのだった…

その昔、二番館で鑑賞した時は、あまりピーンとこない社会派サスペンスと言う印象しかありませんでしたが、最近DVDを購入再見した処、とても良く出来た社会派サスペンスだということが理解出来ました。

当時、米国スリーマイル島原発事故がありましたが、日本では原発関係の大きな事故も無く、その後東日本大震災による津波で2011年3月11日福島原発事故を経験し、私はこの作品が描いたことの重大さをより認識できるようになったと思います。

そういう意味でこの映画はフィクションですが、大変よく描けていると思います。この作品の場合は、あくまでも人為的なミスによる炉心溶融未遂事故ですが、それを告発するか否かで責任者ゴデルが中央制御室を占拠して、問題をTVにて放映しようとするが、会社側がSWATチームを派遣して始末しようするサスペンスにしています。それはそれで痛い程良く出来た社会サスペンスになっています。中央制御室を占拠してからのジャック・レモンの演技がとても素晴らしくて、美しいと思います。

但し、この作品の場合、設計通りに原発を建築していれば問題なく、原子力発電は人類に必要ないというスタンスの方々には物足りないかも知れませんが。

とても良く出来た映画なので興味ある方は、是非ご覧いただくようお願いします。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。             八点鐘

 

追記 ゴデルはBMW2002に乗っていてなかなかお似合いです。クーゲルフィッシャーかな、と気を回してしまいましたが。

 

 

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「ホワット・ライズ・ビニース」オカルテックなサスペンススリラー、後半ヒッチサスペンス全開で美しいです…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ホワット・ライズ・ビニース」(2000)です。

 

クレア(ミシェル・ファイファー)は、大学教授の夫ノーマン(ハリソン・フォード)と湖畔の家で静かに暮らしている。娘は大学に進学して今は二人きりで、そんな中クレアの周りでは何か奇妙な出来事に気付くのだった。隣人の奥さんの姿が消えたり、玄関の扉が開いたり、通気口にある奇妙な鍵、ノーマンの額が落ちたり、浴槽に映った女性の影とか何か不思議な出来事が起こっているのではと考えていた。

そんな時、友人ジョディと交霊会を試るが上手く行かなかったが、何かが自分の周りで起こっていることを感じるのだった…

ヒッチコックタッチのサスペンスミステリーです。特に後半の浴槽でのサスペンスが効いているというか、素晴らしいと思います。うーん、美しいです。

映画としては、オカルテックな味付けで少し分裂気味ですが、ラストのシーンが良いから、この映画大好きです。ゼメキス監督って、ヒチコック監督がとても好きなんだということが良く判りました。と言うより、この手の映画を製作する場合、ヒチコックスタイルを自分なりに昇華して製作するしかないのですね。だから、麻酔薬ハタロンを使い、浴槽での自殺を演出するシーンはもう涙物で…

130分と上映時間が少し長い、特に前半が長いですが、この手の映画が大好きな方は楽しめると思います。

このブログ作成にDVD輸入盤を鑑賞しています。         八点鐘

 

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「コール」誘拐をテーマにしたサスペンススリラー映画ですが…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「コール」(2002)です。

 

オレゴン州ポートランドで生活しているカレン(シャーリーズ・セロン)は、医学博士の夫ウィルを送り出すと娘アビーと自宅に戻ったが、そこにジョーと名のる男が現れ、アビーを仲間マービィンが連れ去り、カレンもジョーに拘束されるのだった。又、ウィルにも魔の手が伸び、シェリルと言う女に監禁されるのだった。互いに連絡を取り合う誘拐犯達に翻弄されるカレン達だった…

誘拐をテーマにした作品です。監督がルイス・マンドーキ、「男が女を愛する時」「メッセージ・イン・ア・ボトル」等ロマンス物が得意な監督なので、全体に今一つ盛り上りに欠ける感じです。もっとサスペンスを盛り上げて欲しいと思います。

ジョーを演じるケビン・ベーコンが偉そうに、俺達は確実に身代金を手に入れる方法を見つけたんだとか抜かしますが、アラアラ、何ということはありません。互いに連絡を取り合っているぐらいで…

ラストは、夫ウィルの自家用水上セスナ機が登場して、アクションたっぷりの見せ場になります。ちょっとチグハクな感じもしますが、ここはまずまず丁寧に撮っているので楽しめます。こういう処もFBIのヘリを巧く組み込んで頂くと、もっともっと楽しめるのですが。と、色々不満を書きましたが、この手の映画を始めてご覧になる方であれば、結構楽しめると思います。

登場キャストの中では、シェリルを演じた女性ミュージシャン出身のコートニー・ラブがなかなか良いなと感じ入りました。シャーリーズ・セロンは美しいのですが…

でも「マッドマックス 怒りのデスロード」は素晴らしかったのですが。

このブログ作成にDVD版を鑑賞しています。             八点鐘

 

 

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          コートニー・ラブ  なかなか渋い




 

 

 

 

 

「見知らぬ乗客」マーダースワップ(交換殺人)をテーマにしたヒチコック監督のサスペンス映画…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「見知らぬ乗客」(1951)です。

テニス選手ガイ(ファーリー・グレンジャー)は、列車の中でブルーノと言う男と知り合う。ブルーノはガイが今の男好きの妻ミリアムと離婚してアンと言う女性と結婚したいことを知っており、マーダースワップ(交換殺人)即ちブルーノはその父親を殺したがっており、ガイと父親を殺してブルーノがミリアムを殺せば、互いに面識もなく動機も無いので警察の捜査から外され、二人ともハッピーになると持ち掛ける。ガイは驚いて相手にしないが、サイコパスのブルーノはミリアムを殺して、ガイに父親を殺す様に強要してくるのだった…

当時としては、パトリシア・ハイスミスの結構弾けたストーリーを脚本にしたのが、ハードボイルド作家のレイモンド・チャンドラーでしたが、ヒチコックと馬が合わなくて大変だったそうです。

映画は、ヒッチスタイルのオンパレードと言う感じで見ていてとても楽します。列車の中で置き忘れるガイのライター、ミリアムの仕事場でのトラブル、遊園地での殺人(眼鏡を利用した巧みなショット)、ガイによる深夜ブルーノ父の邸宅訪問等々、又ガイのライターの扱い方、テニス場での観客の視線を逆手に取ったサスペンス、ラストのメリーゴーランドでの死闘、何やらこの作品を見ると、私はデ・パルマ監督作品を思い出します。タッチがとても良く似ているのです。思うにデ・パルマ監督、この映画が大好きで大好きではないでしょうか。私にはそう見えますが。勿論、私も大好きですが。

そういう意味で、とても良く出来たヒッチサスペンス映画です。

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「オッペンハイマー」"原爆の父"と言われたオッペンハイマー博士の栄光と悲劇を描いた力作

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「オッペンハイマー」(2023)です。

1926年、物理実験の苦手な若い学生オッペンハイマー(キリアン・マーフイ)が描かれ、色々と英国、欧州に飛ばされ量子力学を学びカルフォルニア・バークレー校で量子力学の教授になる。最初は学生がたった一人だが、次第に集まって来る。1938年にドイツで核分裂が発見されて、ナチスドイツが核分裂爆弾を手にするのではないかと米国も遅れを取るわけにはいかないとMIT出身のグローブス准将がオッペンハイマーを中心にしたマンハッタン計画を立ち上げるのだが…

以前、同じようにマンハッタン計画を描いたローランド・ジョフィ監督「シャドー・メーカーズ」(1989)をご紹介しました。このクリストファー・ノーラン監督作品「オッペンハイマー」は、その真打ちと言って良い映画だと思います。

但し、「シャドー…」では米陸軍グローヴス将軍から見たマンハッタン計画を描いていましたが、この作品では計画の中心であるオッペンハイマー博士を中心に描いているところが違いますし、又何といってもヒットメーカー、ノーラン監督のバジェット1億ドルの大作なので、あの「シャドー…」も良く出来た映画ですが、キャスト、スケール感等比較なりません。特に原子爆弾完成、トリニティ実験迄一気に見せてくれます。素晴らしいです。特にトリニティ実験のシーンは迫力たっぷりで…

但し、後半第二次世界大戦に米国が勝ち世界一の覇権国になり、テラー博士の推奨する水爆開発に冷淡な態度を取ってからソ連へ貴重な情報を漏洩したのでないかと疑われる辺りは若干冗長な感じで、少し煩わしいのですが。でも、とても良く出来た映画です。但し、日本人として鑑賞するとあの広島、長崎のあたりのは辛いのですが。

キリアン・マーフィが良いですね。「麦の穂を揺らす風」「サンシャイン2057」辺りからよく見ていますが、本当に素晴らしいと思います。役者としてこのような作品に出演できることは一生に一度あるか無いかでしょう。勿論、エミリー・ブラント、ロバート・ダウニー・Jrも素晴らしいですが。

大戦後、池の畔でアインシュタインと出会うオッペンハイマー、自分を貶める為に中傷したとシュトラウスは思い込んでいたが、実はアインシュタインとの会話は彼の残した実績に対して国が報いてくれることを話していたのだった。そして、彼は1963年ジョンソン大統領からエンリコ・フェルミ賞を授与されるのだった。このあたりも素晴らしい。

本当に素晴らしい映画になっています。興味のある方はぜひ鑑賞して下さい。勉強になると思います。但し、個人的にはこの様な重いテーマ映画ではなく、ノーラン監督であれば「インセプション」「インターステラー」「テネット」の様なサスペンス映画の方が好きですが。                                                  

ブログ作成にIMAXにて劇場鑑賞しました。IMAXがお薦めです。    八点鐘

 

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このシーンが好きです

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「ロフト 完全なる嘘(トリック)」ベルギーで大ヒットした映画をオランダでリブートした映画…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「ロフト 完全なる嘘(トリック)」(2010)です。

 

 

建築家マティアス(バリー・アトゥスマ)が設計した新築マンション最上階にロストルームを製作し、友人4人達と情事専用部屋とした。ある日の朝、友人の一人がロストルームに入るとベッドの上に全裸女性の血まみれの死体を発見するのだった。男達は集まり、女の身元、犯人は誰か? 死体をどうすべきかという物語が二転三転する映画…

ベルギーで大ヒットした映画をオランダでリブートした作品です。真摯に作られた良い映画だと思いますが、私はこの映画駄目ですね。

理由は、まず友人が多いですね。それぞれがフラッシュバックで回想したりして、映画の展開を妨げ、又情事専用部屋を5人で共有するシュチエーションって、絶対一人ぐらいそれをネタに仲間をゆする奴が出て来るので、誰もそんな提案にのらないと考え始めると、こんな風に物語が展開するのが何やら胡散臭くて…

登場する友人も一見真面そうですが、一皮剝くとやはりと言う感じで、まあうまく纏めていますが、真実味が希薄で見ていて、私はあまり面白く感じなかった。

「ロフト.」オリジナルデンマーク版を見た方が良かったかな。   

このブログ作成に作品をVODにて鑑賞しています。        八点鐘

 

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番外編「プリズナーNo.6」その昔放映されたカフカ風味付けのエスピオナージスリラー…

レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する作品は「プリズナー No.6」(1967)です。

その男(パトリック・マクグハーン)は英国情報部に属していたがある理由で職を辞す。自宅アパートで旅行準備をしている処、催眠ガスで気を失う。気付いた時は、知らない場所で"村"と住民は彼に教えてくれた。そこで彼はNo.2なる人物(ガイ・ドールマン)に会い、君はNo.6だと言われ、何故辞職したのかと尋ねられるのだった…

一話完結60分物のテレビシリーズで、独特な味付けのエスピオナージミステリーで、あのカフカ風な感じで今でもコアなファンがいると思います。日本では、NHKが週末11時頃放映していました。

10年程前に購入したDVDが最近見つかったので、第一話「地図にない村(Arrival)」を鑑賞、その印象をお話します。拉致されたNo.6は執拗にNo.2から辞職の理由を尋ねられるが、決して答えずこの村から逃亡しようと外界から飛行してくるヘリコプターを奪い、逃亡しようとするが失敗するという内容で、前半はなかなか良いのですが後半の展開がもう一つと言う感じですが、No.2が御贔屓ガイ・ドールマンなので私は楽しめました。

このシリーズ、特にパトリック・マクグハーンがはまり役で、その昔TV放映していた「秘密諜報員ジョン・ドレイク」等を憶えていればその面白さが理解できると思います。又、彼はこの作品では監督、脚本も担当しています。

マクグハーンは、この時期にハリウッドに招かれて「北極の基地 潜航大作戦」「大陸横断超特急」「アルカトラスからの脱出」「ブレイブハート」等ありますが、お薦めは「北極の基地 潜航大作戦」「アルカトラスからの脱出」でしょう。どこかで見かけたら鑑賞して損はないと思います。                 八点鐘

 

追記 この「プリズナー No.6」ですが、米国でもミニシリーズ化されていますが、これはどうもいただけませんね。

 

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イエローノーズコーンのロータスセブンMk2が素晴らしい

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            こちらはリブート版ですが

 

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